1. はじめに
Unityでゲームを作っていると、「データをどこに保存するのが正しいんだろう?」と迷うことってありませんか?
例えば、キャラクターのステータスやアイテムの情報、ゲームの設定値など…コードに直書きしてしまうと管理が大変ですし、プレハブに埋め込むとデータのコピーが増えてしまい、気づけばメモリを無駄遣いしてしまうこともあります。
そこで登場するのがSerializableとScriptableObjectです。
この2つを上手に使い分けることで、データ管理をシンプルにしつつ、メモリ効率や開発スピードをグッと改善できます。
本記事では、それぞれの特徴や違いをわかりやすく整理し、初心者でもすぐ試せる活用法を紹介します。
「そろそろプロジェクトのデータ管理をちゃんと考えたいな」という方は、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
2. ScriptableObjectとは?
2-1. ScriptableObjectの概要
ScriptableObjectは、Unityに用意されている特別なクラスで、シーンやゲームオブジェクトに依存せずにアセットとしてデータを保存できるコンテナです。
MonoBehaviourと同じようにUnityのオブジェクトから派生しますが、ゲームオブジェクトにアタッチするのではなく、プロジェクトのアセットフォルダに直接保存して利用します。
2-2. メリット(メモリ効率の改善)
例えば、プレハブに直接データを持たせると、そのプレハブを複数生成するたびに同じデータのコピーがメモリに展開されます。
一方、ScriptableObjectにデータをまとめておけば、複数のプレハブが同じデータを参照できるため、メモリ消費を大幅に抑えることができます。大規模なプロジェクトやスマホ向けのゲーム開発では、かなりの差が出るポイントです。
2-3. 主な活用例
- キャラクターやアイテムのステータスデータ
- ゲームバランス用の数値(スコア倍率、敵の出現率など)
- エディター拡張ツールで利用する設定ファイル
つまり「多くのオブジェクトで共有したいデータ」を扱うときにScriptableObjectは非常に便利です。
2-4. 注意点
ScriptableObjectはビルド後の実行時にプレイヤーのセーブデータとして直接保存する用途には向いていません。
ただし、開発中に設定したScriptableObjectアセットを参照することはできるので、「初期設定や固定値の管理」に使うのが基本です。
➡ 詳しくは公式マニュアルも参考にどうぞ:
Unity公式マニュアル – ScriptableObject
3. ScriptableObjectの作り方と使い方
3-1. ScriptableObjectクラスの定義
まずはプロジェクトウィンドウを右クリックして「Create > C# Script」を選び、新しいスクリプトを作成します。
例として SpawnManagerScriptableObject という名前にして、ScriptableObject を継承させます。
using UnityEngine;
[CreateAssetMenu(fileName = "SpawnManagerValues",
menuName = "ScriptableObjects/SpawnManager",
order = 1)]
public class SpawnManagerScriptableObject : ScriptableObject
{
public string prefabName;
public int numberOfPrefabsToCreate;
public Vector3[] spawnPoints;
}
ここでポイントは [CreateAssetMenu] 属性を付けること。これで Unity エディターの「Assets > Create」メニューから簡単にインスタンスを作れるようになります。
3-2. アセットの作成
スクリプトを保存すると、Assets > Create > ScriptableObjects > SpawnManager というメニューが追加されています。
ここから新しい ScriptableObject インスタンスを作成し、分かりやすい名前を付けましょう。インスペクターで数値や配列を自由に設定できます。
3-3. シーンでの利用方法
次に、このデータを利用するスクリプト(例:Spawner クラス)を作成します。こちらは MonoBehaviour を継承し、ScriptableObjectを参照できるようにします。
using UnityEngine;
public class Spawner : MonoBehaviour
{
public SpawnManagerScriptableObject spawnManagerValues;
public GameObject entityToSpawn;
void Start()
{
for (int i = 0; i < spawnManagerValues.numberOfPrefabsToCreate; i++)
{
Vector3 pos = spawnManagerValues.spawnPoints[i];
Instantiate(entityToSpawn, pos, Quaternion.identity);
}
}
}
この Spawner スクリプトをシーン内の空のゲームオブジェクトにドラッグ&ドロップしてアタッチします。
インスペクターで Spawn Manager Values に先ほど作成した ScriptableObject アセットを指定し、Entity To Spawn に任意のプレハブを設定しましょう。
3-4. 実行
ゲームを再生すると、ScriptableObjectに設定した数値や座標をもとに、指定したプレハブがシーンに生成されます。

同じ設定を複数のシーンやオブジェクトから使い回せるので、管理がとても楽になりますよ。
4. Serializableとは?
4-1. Serializableの概要
[Serializable] は、クラスや構造体を Unity のシリアライズ対象にできる属性です。
この属性を付けることで、インスペクター上でデータを可視化したり、プロジェクト内で保存・読み込みができるようになります。
4-2. 適用が不要なケース
MonoBehaviour や ScriptableObject のように、すでに Unity によってシリアライズ対象として扱われるクラスには、改めて [Serializable] を付ける必要はありません。
一方で、独自に作成した小さなデータクラスや構造体に使うことで、その中のフィールドを Inspector で編集できるようになります。
4-3. 使用例
using UnityEngine;
[System.Serializable]
public class PlayerStats
{
public string playerName;
public int hp;
public int attack;
}
public class Player : MonoBehaviour
{
[SerializeField]
private PlayerStats stats;
}
上記の例では、PlayerStats クラスを Serializable として定義しています。
さらに [SerializeField] を付けることで、private フィールドでも Inspector に表示・編集できるようになります。
4-4. 関連する属性
- [SerializeField] … private フィールドを Inspector に表示
- [NonSerialized] … シリアライズ対象から除外
- [SerializeReference] … インターフェースや継承関係を持つオブジェクトを参照可能にする
➡ 公式の解説はこちらも参考になります:
Unity公式スクリプトリファレンス – Serializable
5. SerializableとScriptableObjectの違い
5-1. 保存方法とデータの扱い
Serializable は「クラスや構造体を Inspector に表示できるようにするための仕組み」であり、基本的には インスタンス単位のデータ を保存します。
一方、ScriptableObject は「アセットとして独立したデータを管理する仕組み」であり、プロジェクト全体で共有できるデータを扱うのに向いています。
5-2. メモリ効率
Serializable を利用すると、各オブジェクトごとにデータがコピーされるため、インスタンス数が多い場合はメモリ消費が増えがちです。
逆に ScriptableObject は「1つのデータを参照して使い回す」ことができるので、大規模なゲームやスマホ向けタイトルで特に有効です。
5-3. 永続性
Serializable のデータはシーンやプレハブと一緒に保存されますが、ScriptableObject はアセットファイルとしてディスクに保存されるため、セッションをまたいでも保持されます。
ただし、ビルド後にプレイヤーが書き換えるセーブデータ用途には向かないため、実行時の保存は JSON や PlayerPrefs と組み合わせるのがおすすめです。
5-4. 使い分けの目安
- キャラクターステータスやアイテムデータ → ScriptableObject
- 一時的に扱う小さなクラスや構造体 → Serializable
- 設定値を複数シーンで共通化 → ScriptableObject
- Inspectorで表示して調整したいフィールド → Serializable

このように両者は「どちらが優れているか」というよりも「用途によって適材適所で選ぶ」のがポイントです。
6. 効率化に役立つアセット紹介
Odin Inspector & Serializer
データを効率的に扱うならOdin Inspector & Serializerは欠かせません。
通常の Inspector では編集しづらい複雑な Serializable クラスや ScriptableObject を、わかりやすい UI で管理できるようになります。
また、カスタムエディターを自作する必要がなく、開発スピードを大きく向上させられます。
Editor Console Pro
大量のデータを扱うプロジェクトでは、デバッグログの確認も重要です。
Editor Console Proを導入すれば、標準のコンソールよりもはるかに使いやすい検索・フィルタリング機能を利用でき、バグ調査やエラー対応がスムーズになります。
特に ScriptableObject の参照切れや Serializable のデータ不整合を見つけやすくなるのがメリットです。
7. まとめ
今回は、Unityでデータ管理を最適化するためのSerializableとScriptableObjectについて解説しました。
両者の違いを整理すると、次のように使い分けるのがポイントです。
- Serializable … 小規模なクラスや一時的なデータ管理に最適。Inspector表示用に活用できる。
- ScriptableObject … 複数オブジェクトで共有したい大規模データや設定値の管理に最適。メモリ効率も向上。
どちらか一方だけで完結させるのではなく、場面に応じて組み合わせて使うことで、データ構造が整理され、プロジェクト全体の見通しが良くなります。
特に、ゲームの規模が大きくなるほどそのメリットは大きくなりますよ。
もし「Inspectorでのデータ管理がごちゃごちゃしてきたな…」と感じたら、Odin Inspectorのような拡張アセットを導入するのも効果的です。
開発効率を高めつつ、バグを減らし、データ管理をもっと楽しくしていきましょう!
関連書籍
基礎から応用まで体系的に学びたい方には、
作って学べる Unity本格入門 [Unity 6対応版] がおすすめです。
初心者でも実際に手を動かしながら理解できるので、ScriptableObject や Serializable の活用方法も自然に身につきます。
あわせて読みたい
Serializable や ScriptableObject の理解をさらに深めたい方、データ管理の効率化をもっと学びたい方におすすめの記事を紹介します。
- Unityのシリアライズ完全ガイド!データの保存・読み込みを自由自在に
- Unityで効率的なデータ管理!リスト・辞書の活用法を徹底解説
- Unityのコードをリファクタリング!初心者でもできる最適化&整理術
よくある質問(FAQ)
- QScriptableObjectはセーブデータとして使えますか?
- A
残念ながら、ScriptableObjectはビルド後にユーザーが操作するセーブデータの保存には適していません。
ただし「初期設定値」や「ゲームバランス調整データ」として利用するのは有効です。
セーブやロードを行いたい場合は、JSONやPlayerPrefsなどと組み合わせるのがおすすめです。
- QSerializableとSerializeFieldの違いは何ですか?
- A
[Serializable]はクラスや構造体全体をシリアライズ可能にする属性です。
一方[SerializeField]は特定のフィールドだけをInspectorに表示・保存するための属性です。
両者を組み合わせることで、カスタムクラスをInspectorから編集できるようになります。
- Q大量のデータを扱うときはどちらを使うべきですか?
- A
基本的には ScriptableObject を利用する方が効率的です。
特にアイテム一覧やステージ設定など、多数のオブジェクトで共通して参照するデータは ScriptableObject にまとめるとメモリを節約できます。
ただし、小規模な一時データや一部の補助クラスには Serializable を使うのがスマートです。







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