はじめに
ゲームを作っていると、ある日突然「セーブデータが読み込めない…!」という声が届くことがあります。
実はこれ、珍しいことではなくて、Unityでのセーブ設計には思わぬ落とし穴が潜んでいるんです。たとえば、保存中にアプリが落ちたり、OSのキャッシュが原因で書き込みが中途半端になったり…。そんな小さなズレが、大切なデータを壊してしまうことがあります。
この記事では、セーブデータ破損を防ぐための安全な保存戦略を、私が講師として大切にしている「仕組みを知って安心して開発できるようになる」視点でやさしく解説します。
「上書き保存ってそんなに危ないの?」というところから、「じゃあどうすれば安全なの?」という具体的な手順まで、ひとつずつ丁寧にお話ししていきますね。
もしあなたが Unity でゲームを作っていて、
「安心して使えるセーブ機能がほしい」
「クラッシュしても壊れない仕組みを作りたい」
と思っているなら、この内容はきっと役に立ちます。
それでは、安全で壊れにくいセーブ設計の世界へ一緒に進んでいきましょう✨
セーブデータ破損はなぜ起こるのか?
まずは「そもそも、どうしてセーブデータは壊れてしまうのか?」という根本原因から見ていきましょう。ここをしっかり理解しておくと、後で紹介する安全な保存戦略がグッと納得しやすくなります。
実は、セーブ破損の多くは “開発者のミス” ではなく、仕組み上どうしても起こりうる現象なんです。
1. 上書き保存の危険性
ファイルに直接上書きしているときにアプリが落ちると、その瞬間までしか書き込まれていない “中途半端なファイル” が残ってしまいます。
たとえば、セーブデータが 20KB あるのに、クラッシュして 5KB しか書けていなかった…なんてことも。もちろん、この状態では正常に読み込めません。
2. PlayerPrefs の限界
PlayerPrefs は「ちょっとした設定値」を保存するには便利ですが、ゲーム本編のデータを預ける場所としては不向きです。
暗号化されていないので改ざんされやすく、大きなデータを保存するようには設計されていません。あくまで “軽量な保存のための仕組み” と考えてくださいね。
3. 複数ファイルの不整合が起きる
セーブ内容をいくつかのファイルに分割して管理している場合、それぞれの書き込みタイミングがズレてしまうと「片方だけ更新されている」という不整合が起きることがあります。
この不整合はデシリアライズに失敗したり、状態の矛盾を引き起こしたりと、トラブルの原因になりがちです。
4. OSやストレージのキャッシュによる遅延
ファイル書き込みが完了した“ように見えても”、OS 側でキャッシュしていて物理書き込みがまだ…という状況があります。
そのタイミングで電源断や強制終了が起きると、未書き込み分が丸ごと失われてしまいます。
5. ロケール(文化圏)の違い
float などの数値や日付を文字列として保存する場合、パソコンやスマホの言語設定によって書式が変わることがあります。
「日本環境で保存 → 英語環境で読み込む」などをすると、同じセーブなのに正しく読み込めないケースがあるんです。
6. OSごとの挙動差
Windows、macOS、Linux では改行コードが違ったり、ファイル処理まわりの仕様が微妙に異なります。
クロスプラットフォームのゲームでは、こうした差異が原因でセーブ処理が不安定になることもあります。

セーブ破損は「気をつければ絶対に起きないもの」ではなく、仕組みとして起こりやすい性質を持っているんですね。
だからこそ、次の章で紹介する“安全な保存戦略”がとても重要になってきます。
Unityで安全な保存設計を行うための基本戦略
ここからは、セーブデータ破損を防ぐための「具体的な対策」を紹介していきます。
危険なポイントを知ったうえで、その弱点をどう補うのかを理解すると、セーブシステムがグッと堅牢になりますよ。
1. アトミック書き込み(Atomic Write)を使う
セーブ破損を防ぐうえで最も重要なのが、このアトミック書き込みという考え方です。
これは、古いセーブファイルを直接書き換えるのではなく、いったん一時ファイル(temp)に完全なデータを書き込んでから、最後に置き換える方式です。
イメージとしては、「建物をその場で改修する」のではなく、「別の場所で完成品を作って、一瞬で取り替える」感じです。
途中でクラッシュしても temp ファイルが残るだけなので、元のセーブは壊れません。とても安全なんですよ。
アトミック書き込みの流れ
- ① 一時ファイル(例:save.tmp)に完全なデータを書き込む
- ② 書き込みが成功したら File.Move / File.Replace を使って置き換える
- ③ 置き換え操作は「不可分(途中で止まらない)」なので破損が起きない
Unity標準のAPIだけでも実装できますが、「細かい処理まで自前で作るのはメンテが大変…」ということもありますよね。そんなときに役立つのが次で紹介するアセットです。
★ 自前実装が不安なら Easy Save が便利
セーブの仕組みをまるごと強化したい方には、このアセットがとても頼もしい存在です。
バックアップ保存、暗号化、保存の最適化までそろっていて、セーブ周りを一気に安定化できます。
Easy Save(データ管理アセット)
✅ Asset Storeでチェックする
2. バックアップを複数世代保持する
どんなに安全な書き方をしても、想定外の状況(デバイス故障・急なシャットダウン)はあります。
そのため、複数のバックアップを持っておくことがとても重要です。
バックアップ例:
- save.dat(最新)
- save.dat.bak1(1つ前)
- save.dat.bak2(2つ前)
読み込むときは「正常に開けるセーブを探す」ようにしておけば、プレイヤーのデータ消失をほぼ防ぐことができます。
3. ハッシュ値で整合性チェックをする
データの末尾に CRC32 や MD5 のようなハッシュ値を付けておき、読み込み時に一致するか確認する方式です。
一致しなければ破損や改ざんの可能性が高いので、バックアップへ自動で切り替えるようにできます。
これだけで「読み込めるけど中身がおかしい」というような“サイレント破損”も検出できるようになりますよ。
4. ロケール(文化圏)の影響を避ける
float や日付を文字列で保存している場合、環境ごとに書き方が異なるため、読み込みで失敗することがあります。
対策として、CultureInfo.InvariantCulture を使うと、どの環境でも同じ形式に統一できます。
5. 改行コード・OS差を意識してフォーマットを選ぶ
テキスト形式のファイルでは、Windows と macOS で改行コードが違うため、環境差でトラブルが起きることがあります。
JSON・バイナリ形式は比較的安全ですが、特にバイナリは OS 差の影響を受けづらく、軽量で扱いやすいのがメリットです。

ここまでで、セーブ破損を避けるための“守りの基本戦略”をお話ししました。次の章では、これを実際の Unity でどう実装するのか、コード例と一緒に見ていきましょうね。
セーブ処理の具体的な実装手順
ここからは、先ほど紹介した安全設計を、Unityでどのように実装していくのかを順番に見ていきます。
「セーブが壊れやすい原因は分かったけど、実際どう書けばいいの?」という方も、この流れに沿うことで安心して組み立てられますよ。
1. 保存パスを正しく取得する
Unity では Application.persistentDataPath を使うことで、OSごとに適切な保存場所を安全に取得できます。
ここにセーブデータを集約するのが基本です。
// 保存パスの例
string path = Path.Combine(Application.persistentDataPath, "save.dat");
string tempPath = path + ".tmp";
これで「本番用のファイル」と「一時ファイル」を明確に分けられます。
2. 一時ファイルに書き込む
まずは、tempファイルに完全なデータを書き込みます。JSONでもバイナリでもOKです。
途中で失敗しても temp が壊れるだけなので、本番のファイルを守れます。
// JSONで保存する例
var json = JsonUtility.ToJson(saveData, prettyPrint: false);
File.WriteAllText(tempPath, json);
バイナリ形式で書く場合には BinaryWriter を使います。高速で改行コードも気にしなくてよいため、より安全側に寄せたいならバイナリが向いています。
3. 書き込みが完了したら検証(任意)
データ量が多い場合は、書き込み後に temp ファイルを一度読み込んで、破損がないか最低限チェックしておく方法もあります。
ここでエラーが出なければ、安心して置き換え処理に移れます。
4. アトミックに置換する(File.Move / File.Replace)
一時ファイルに無事書けたら、いよいよ本番ファイルと入れ替えます。
このとき、置換操作が“途中停止しない(アトミック)”ので、壊れた状態が残ることがありません。
// もっともシンプルなアトミック置換
File.Move(tempPath, path, overwrite: true);
もしバックアップも同時に取りたい場合は File.Replace が便利です。
// 古いセーブを save.bak に退避しながら置換
string backupPath = path + ".bak";
File.Replace(tempPath, path, backupPath);
この方式なら「元ファイル → 新ファイル → バックアップ」と、きれいな世代管理ができるようになります。
5. ハッシュ値を使った整合性チェック
セーブデータの最後にハッシュ値(CRC, MD5, SHA-256など)を付けておき、読み込み時にも同じ計算をして一致するか確認します。
// MD5の例(本番はSHA系の方が推奨)
string CreateHash(string text)
{
using (var md5 = MD5.Create())
{
byte[] hash = md5.ComputeHash(Encoding.UTF8.GetBytes(text));
return BitConverter.ToString(hash).Replace("-", "").ToLower();
}
}
もし一致しなければ、それは破損の合図。安全にバックアップへフォールバックできます。
6. ロケール(文化圏)を固定して書き込む
float や DateTime を文字列で保存するなら、CultureInfo.InvariantCulture を使いましょう。
これだけで「日本の環境では保存できたのに、英語設定だと読み込めない…」といった問題を防げます。
// ロケール固定した文字列化の例
string value = myFloat.ToString(CultureInfo.InvariantCulture);
以上が Unity での安全なセーブ処理の基本フローです。
この流れをテンプレートとして使えば、どんな規模のゲームでも破損しにくい保存システムを作れますよ。

次は、さらに安全にするための追加テクニックや、フォーマットの選び方についてお話ししますね。
セーブデータ設計で気をつけたい追加テクニック
ここまでで「壊れにくい保存の基本戦略」と「Unityでの具体的な実装」を見てきました。
仕組みとしてはこれだけでも十分強いのですが、ゲーム開発では思わぬ落とし穴が出てくることもあります。
ここでは、より堅牢で扱いやすいセーブシステムに仕上げるための追加テクニックを紹介しますね。
1. JSON形式とバイナリ形式の使い分け
データの保存形式は、ゲームの規模や開発スタイルによって選び方が変わります。
どちらが“正解”というものではなく、それぞれの特徴を理解して選ぶのがポイントです。
● JSON形式の特徴
- 可読性が高く、デバッグがしやすい
- 整形しやすく、人が中身を確認しやすい
- セーブ内容が増えるとファイルサイズが大きくなりがち
- 改ざんは比較的しやすい
● バイナリ形式の特徴
- サイズが小さく読み書きが高速
- OS差(改行コードなど)の影響をほぼ受けない
- 人が読めないためセキュリティ面で有利
- デバッグでは中身を確認しづらい
「まずはJSONで作って、後からバイナリに最適化する」という開発フローもよく使われます。
2. ロケール(文化圏)問題を避ける工夫
特に海外プレイヤーへ展開したい場合は、日付や小数点の扱いに注意が必要です。
数値を文字列として保存するなら、必ず CultureInfo.InvariantCulture を使いましょう。
どの国の端末でも同じ形式で保存されるので、読み込み時のトラブルを避けられます。
3. 改行コードなどOS差の影響を受けないデータ設計にする
テキスト形式だと環境によって改行コードが変わってしまいますが、JSONやバイナリではその影響が少なくなります。
特にバイナリ形式は OS 差の影響を受けにくいので、安全な選択肢として覚えておくと便利です。
4. 外部アセットで時短+高信頼化する選択肢もアリ
大規模なゲームになるほど、セーブの安全性は非常に重要になります。バックアップ管理・暗号化・圧縮などをすべて自前で作るのは、なかなか大仕事ですよね。
そんなとき、前章でも紹介した Easy Save のようなアセットがあると、開発の負担をグッと減らせます。
「セーブ周りはなるべく手間を減らしたい」「堅牢さを担保したい」という場合は、外部アセットを活用するのも賢い選択です。
5. 学習コストを下げたい人向けの書籍
セーブの仕組みは、C# や Unity の基礎構造への理解がまじわる部分でもあります。
全体の基盤知識を身につけたい方には、下記の書籍がとても役立ちますよ。
Unityゲーム プログラミング・バイブル
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✅ 楽天でチェックする

この本は Unity の基礎〜実践が幅広くまとまっていて、セーブ・ロードを含むゲーム全体の構造を理解するのにとても役立ちます。ひとつ手元にあると、開発中の「これどう作るんだっけ?」が減って安心ですよ。
まとめ
セーブデータの破損は、Unityでゲームを作るうえで誰にでも起こりうる問題です。
でも、正しい保存戦略を知って実装しておけば、そのリスクを大きく減らすことができます。
今回お話ししたポイントをあらためて整理すると、次のようになります。
- 上書き保存は途中クラッシュに弱く、破損の主な原因になる
- 必ず一時ファイル(temp)に書き込んでから置き換える「アトミック書き込み」が最も安全
- バックアップを複数世代持つことで“最悪の場合”でも救済できる
- ハッシュ値チェックで破損・改ざんを素早く検知できる
- ロケール差は InvariantCulture で回避できる
- JSON とバイナリはメリットが異なるのでゲームに合わせて選ぶ
セーブはただの「データの保存」ではなく、ゲーム体験の信頼性そのものです。
大切なプレイヤーの進行データを守るために、ぜひ今回の実践的な手法を取り入れてみてくださいね。
もし「もっと体系的に Unity を学びたいな…」と思ったら、関連書籍も参考になりますよ。開発がぐっと楽になります✨
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- Unityで「JSONデータ管理!セーブ&ロードを最適化する方法」
- Unityのシリアライズ完全ガイド!データの保存・読み込みを自由自在に
- Easy Save 3でスムーズなデータ管理を実現する方法
- Unityでタイムゾーンの違いを考慮した日時管理をする方法
- Unityで効率的なデータ管理!リスト・辞書の活用法を徹底解説
参考文献
- Unity セーブデータの基本と安全に保存するためのポイント(Wamutai Tech)
- Unityでセーブデータを管理する方法と注意点(GameCreateLAB)
- Unityでのセーブ破損対策・Atomic Save の実践例(ISSUE)
- How to prevent save corruption when the game crashes(Reddit – r/Unity3D)
- How to ensure that data doesn’t get corrupted when saving to a file(Stack Overflow)
よくある質問(FAQ)
- QPlayerPrefsだけでセーブ運用するのはダメ?
- A
設定値の保存など“軽い用途”なら問題ありません。でもゲーム進行やインベントリのような重要データは PlayerPrefs に向いていません。安全性・サイズ・暗号化の面でリスクが高いため、専用のセーブシステムを採用することをおすすめします。
- QFile.Move と File.Replace、どっちを使えばいいの?
- A
バックアップを残したいなら
File.Replace、単純に置き換えるだけならFile.MoveでOKです。どちらもアトミックに動作するため、途中で破損することがありません。
- QJSON とバイナリ、結局どちらがいいの?
- A
デバッグのしやすさを重視するなら JSON、容量や安全性を重視するならバイナリ形式が向いています。
ゲームの規模・必要なセキュリティ・パフォーマンスなどを考えて選ぶといいですね。







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