1. はじめに
Unityでゲーム開発をしていると、「もっと短く、スッキリとしたコードを書きたい」と思うことはありませんか?
そんなときに役立つのが、ラムダ式とLINQ(Language Integrated Query)です。C#のこれらの機能を使うことで、従来のforeach文やif文を使った冗長な処理を、たった1行で表現できるようになります。
例えば「特定条件のオブジェクトをまとめて処理する」「リストから必要な情報だけを抽出する」といった場面でLINQは非常に便利です。ただし、便利な反面、使いどころを間違えるとコードの可読性が下がったり、処理がわかりづらくなってしまう“罠”も存在します。
この記事では、Unity初心者でも理解できるように、ラムダ式とLINQの基本的な使い方から、実際のゲーム開発での活用例、さらに注意点までを丁寧に解説していきます。
「コードを効率化したいけれど、可読性を犠牲にしたくない」そんな方にピッタリの内容です。
2. LINQとは?Unity開発での活用ポイント
まずは、ラムダ式とセットで使うことが多いLINQ(Language Integrated Query)について見ていきましょう。
LINQはC#に標準搭載されている機能で、リストや配列、Dictionaryなどのコレクション操作をシンプルに書けるのが最大の特徴です。
2-1. LINQを使わない場合のコード
// 通常のforeachを使った例
List<int> numTwiceList = new List<int>();
foreach (int num in _listTest)
{
numTwiceList.Add(num * 2);
}
このようにforeachを使うと分かりやすい一方で、コードが少し長くなってしまいます。
2-2. LINQを使った場合のコード
// LINQを使った例
List<int> numTwiceList = _listTest.Select(num => num * 2).ToList();
LINQを使うと、同じ処理をわずか1行で書けます。SQLに似た記法のため、データをフィルタリングしたり並べ替える処理をイメージしやすいのも魅力です。
2-3. Unityでの具体的な利用シーン
- ステージ内のアイテムリストから条件に合うものだけを抽出する
- 敵キャラクターのHPが一定以下のものだけをリスト化して処理する
- ランダムに並べ替えて、1つを抽選する

このように、ゲーム開発では「コレクション操作」=「LINQの得意分野」という場面がとても多いです。
また、LINQを使ってリストを操作する際には、内部の変数やオブジェクトの状態をデバッグしたくなることがよくあります。
そんなときに役立つのが以下のアセットです。
- Odin Inspector and Serializer
:Inspector上でデータ構造を直接確認できるので、LINQで操作した結果を可視化するのにとても便利です。
3. LINQの注意点と罠
LINQはとても便利な機能ですが、使いどころを間違えるとかえってコードが読みにくくなることがあります。
特にUnity開発では、オブジェクトの状態を管理する処理が多いため、LINQを乱用すると「簡潔に見えて複雑」なコードになりがちです。
3-1. 陥りやすいアンチパターン
例えば、メニュー画面のボタンを選択・非選択する処理をLINQで書いた場合を見てみましょう。
// LINQを使った例(あまり良くない)
buttons.Where(b => b.name.Equals(name))
.ToList().ForEach(b => b.SetActive(true));
buttons.Where(b => !b.name.Equals(name))
.ToList().ForEach(b => b.SetActive(false));
肯定条件と否定条件で2回 Where を書いているため、冗長かつ処理内容が直感的に分かりにくいコードになっています。
3-2. foreach文で書いた方がシンプルな例
上記の処理は、実は通常のforeachとif-elseを使った方が分かりやすくなります。
// foreachを使った方が読みやすい例
foreach (var b in buttons)
{
if (b.name.Equals(name))
b.SetActive(true);
else
b.SetActive(false);
}
このように、「条件分岐が複数ある場合」や「肯定と否定を同時に扱う場合」はLINQよりもforeachの方が適しています。
3-3. LINQが向いている場面
一方で、LINQが有効に機能する場面もあります。例えば…
- 条件分岐が1つだけのとき
- elseが存在しない単純処理のとき

このような場合、collection.Where(...).ForEach(...) の形で簡潔に書けるため、可読性も保たれます。
ただし、LINQを使うとNull参照エラーや例外処理が発生することもあります。そんなときにデバッグを助けてくれるのがこちらのアセットです。
- Editor Console Pro :大量のログを見やすく整理でき、LINQ実装時のエラーを効率的に特定できます。特にNull参照の調査には重宝します。
4. よく使うLINQメソッド一覧
ここでは、Unityでのゲーム開発によく登場するLINQの代表的なメソッドを紹介します。
「どのメソッドが何をするのか?」を把握しておくと、コードを書きながら自然に使えるようになります。
| 分類 | メソッド名 | 機能 | 使用例 |
|---|---|---|---|
| よく使う | FirstOrDefault | 条件に合う最初の要素を取得(なければnull)。 | ItemList.FirstOrDefault(item => item.count >= 10)所持数10以上の最初のアイテムを取得 |
Where | 条件に合う要素を抽出(IEnumerable)。 | ItemList.Where(item => item.type == 1)タイプ1のアイテムを抽出 | |
Select | 要素を変換して新しいシーケンスを作成。 | ItemList.Select(item => item.id)idだけを抽出 | |
ToList / ToArray | LINQの結果をListや配列に変換。 | Select(...).ToList() | |
OrderBy / OrderByDescending | 指定条件で昇順 / 降順ソート。 | ItemList.OrderBy(item => item.count)所持数の少ない順 | |
| ランダム並び替え | OrderBy(Guid.NewGuid()) | 並び順をランダム化。 | ItemList.OrderBy(item => Guid.NewGuid()) |
| そこそこ使う | Count | 条件に合う要素数を取得。 | ItemList.Count(item => item.count >= 10)10個以上持つアイテム数 |
Any / All | 条件を満たす要素があるか / 全て満たすか。 | ItemList.Any(item => item.id == "item1")ItemList.All(item => item.count >= 2) | |
Take | 先頭から指定数だけ取得。 | ItemList.OrderBy(x => x.count).Take(5)少ない順で5つ | |
Skip | 先頭から指定数スキップ。 | ItemList.Skip(3).Take(2)4番目以降の2つ |

ゲーム開発では「アイテム抽選」「キャラリストのソート」「ランダム選択」などでこれらのメソッドを多用します。
慣れてきたら、自分のコードでLINQに置き換えられる処理がないか探してみると理解が深まりますよ。
5. ラムダ式の基礎とデリゲート
LINQを使う上で欠かせないのがラムダ式です。ラムダ式は「その場でサクッと関数を定義できる匿名関数」のようなもので、コードを短くわかりやすく書くための便利な構文です。
5-1. ラムダ式とは?
通常のメソッド定義では、関数に名前をつけて別の場所で呼び出しますが、ラムダ式は名前のない使い捨ての関数をその場で定義できます。
構文は以下のようにシンプルです。
// 基本構文
(引数) => { 実行する処理 };
// 例:数値を2倍にする関数
(int x) => { return x * 2; };
C#の型推論が効くので、引数や戻り値の型を省略できるほか、処理が1行なら {} と return も省略できます。
// 省略版(さらに短く書ける)
x => x * 2;
5-2. デリゲートとの関係
ラムダ式単体では使えず、必ずデリゲートに代入して使われます。デリゲートは「関数を代入できる変数」のようなもので、LINQの内部でもデリゲートが使われています。
| デリゲート型 | 特徴 | 使用例 |
|---|---|---|
Action | 引数なし・戻り値なしの処理 | Action action = () => Console.WriteLine("Hello"); |
Action<T> | 引数あり・戻り値なし | Action<int> act = num => Console.WriteLine(num); |
Func<TResult> | 引数なし・戻り値あり | Func<int> func = () => 10; |
Func<T, TResult> | 引数あり・戻り値あり | Func<int, int> square = x => x * x; |
5-3. ラムダ式を使うメリット
- 処理の呼び出し場所と定義が近く、コードが読みやすくなる
- 一時的な処理をわざわざメソッド化しなくても良い
- LINQと組み合わせて1行で完結する処理を書ける
もし「もっとC#の基礎をしっかり固めたい」と思ったら、次の入門書をチェックしてみてください。
UnityとC#を体系的に学ぶのに最適で、ラムダ式やLINQの理解にもつながります。
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6. 実践例:Unityでの活用シナリオ
ここまででLINQとラムダ式の基礎を学びました。では実際に、Unityのゲーム開発にどう応用できるのかを見ていきましょう。
現場でよくある「アイテム管理」「キャラクター制御」「ランダム抽選」の3つのケースを例に挙げます。
6-1. アイテムリストから条件に合うものを抽出
// 所持数が5以上のアイテムだけを抽出
var usableItems = itemList.Where(item => item.count >= 5).ToList();
従来ならforeach+ifで書いていた処理を、LINQなら1行で書けます。インベントリ管理やショップ機能などで非常に役立ちます。
6-2. キャラクターの状態を条件でフィルタリング
// HPが0以下のキャラを探してリスト化
var deadCharacters = characters.Where(c => c.hp <= 0).ToList();
ゲーム内で「戦闘不能キャラを抽出する」「一定条件を満たすNPCを処理する」といった場面で便利です。
6-3. ランダム要素を加えた抽選
// ランダムに1人のキャラを抽選
var randomCharacter = characters.OrderBy(c => Guid.NewGuid()).FirstOrDefault();
ランダム抽選を行う処理もLINQでスッキリ書けます。ガチャ演出や敵の出現判定などに応用可能です。
7. まとめ
今回は、Unityで使えるラムダ式とLINQについて解説しました。
便利さと注意点の両面を理解することで、コードを効率化しながらも可読性を保つことができます。
この記事の要点
- LINQはコレクション操作を簡潔に記述でき、Unity開発でよく使われる
- ただし条件分岐が複雑な場合は、foreach+ifの方が読みやすい
- ラムダ式は「使い捨ての匿名関数」を簡単に書ける便利な構文
- ActionやFuncなどのデリゲートとセットで理解すると応用力が高まる
- アイテム管理・キャラ制御・ランダム抽選など、Unityで活用できる場面は多い
結局のところ、「便利だから常にLINQ」ではなく、状況に応じて書き分ける柔軟さが大切です。
コードの可読性やチーム開発での共有を意識して、最適な書き方を選びましょう。
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これらの記事を読むことで、C#の基礎スキルからUnity特有の実装パターンまで、より幅広く身につけることができます。
「ちょっとコードを工夫するだけで、開発がもっと楽しくなる!」という感覚を味わってみてくださいね。
よくある質問(FAQ)
- QLINQを使うと処理は遅くなりますか?
- A
基本的にLINQは内部でループ処理をしているため、foreachと大きな速度差はありません。ただし、何度も繰り返し呼び出すような処理や、大量の要素を扱うときはパフォーマンスに影響する場合があります。
重要なのは「わかりやすさ」と「必要十分な速度」のバランスを取ることです。
- Qラムダ式は必ず使った方がいいの?
- A
必ずしも使う必要はありません。
「一時的に小さな処理をまとめたい」「LINQの条件式を簡潔に書きたい」といった場面で使うのがおすすめです。
逆に複雑な処理は、通常のメソッドに分けて書いた方が読みやすくなります。
- QUnityの初心者がまず覚えるべきはLINQ?ラムダ式?
- A
順番としてはラムダ式 → LINQをおすすめします。
ラムダ式を理解すると、LINQの書き方が自然に読めるようになります。その上でLINQを覚えると、リスト操作やフィルタリングが一気に楽になりますよ。







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