1. はじめに
ゲーム開発において、パフォーマンスの最適化はとても重要ですよね。特に、メモリ管理を適切に行わないと、ゲームが重くなったり、最悪の場合クラッシュしたりすることがあります。これを引き起こす原因のひとつが メモリリーク です。
メモリリークとは、本来不要になったデータが解放されずに残り続ける現象のこと。UnityのようなC#ベースの開発環境では、ガベージコレクション(GC) によって不要なメモリが自動的に解放される仕組みがありますが、すべてのケースで完璧に機能するわけではありません。特に イベントリスナーの登録解除忘れ や 不要なオブジェクトの参照保持 などが原因で、意図しないメモリリークが発生することがあるんです。
そこでこの記事では、C#の Disposeパターン を活用してメモリリークを防ぐ方法と、イベント管理のベストプラクティス について詳しく解説していきます!
しっかり理解すれば、より安定したゲーム開発ができるようになりますので、一緒に学んでいきましょう! 🚀
2. メモリリークとは?
メモリリークとは、プログラムが使用したメモリを適切に解放できず、その結果メモリが無駄に占有され続ける現象のことを指します。通常、C#ではガベージコレクション(GC)が自動的に不要なメモリを回収してくれますが、開発者が適切にリソース管理をしないと、GCが解放できないメモリが蓄積し、最終的にはパフォーマンスの低下やアプリのクラッシュを引き起こします。
Unityで発生しやすいメモリリークの原因
Unityでは、以下のような状況でメモリリークが発生しやすくなります。
① 参照が残り続けるオブジェクト
C#のガベージコレクター(GC)は、参照が存在しないオブジェクトを自動で削除します。しかし、不要なオブジェクトに参照が残っていると、GCが解放できずにメモリに残り続けます。 例えば、以下のようなケースが問題になります。
public class MemoryLeakExample : MonoBehaviour
{
private static List<GameObject> storedObjects = new List<GameObject>();
void Start()
{
GameObject obj = new GameObject("LeakingObject");
storedObjects.Add(obj); // 静的リストに追加され、メモリリークの原因になる
}
}
この例では、新しく生成されたGameObject
がstoredObjects
という静的リストに追加されます。このリストに入ったオブジェクトは参照が保持され続けるため、シーンを切り替えてもGCによって解放されません。
対策
不要になったオブジェクトは、適切にリストから削除しましょう。
void OnDestroy()
{
storedObjects.Clear(); // リストをクリアしてメモリを解放する
}
② イベントリスナーの解除忘れ
C#のイベント機能は便利ですが、適切に解除しないとメモリリークの原因になります。
例えば、以下のコードでは、オブジェクトが破棄されてもイベントリスナーが解除されないため、参照が残ってしまい、GCが回収できません。
public class EventMemoryLeak : MonoBehaviour
{
void Start()
{
SomeEventManager.OnSomeEvent += HandleEvent;
}
void HandleEvent()
{
Debug.Log("イベントが発生しました!");
}
}
対策
OnDestroy()
でイベントリスナーを解除することで、メモリリークを防げます。
void OnDestroy()
{
SomeEventManager.OnSomeEvent -= HandleEvent; // 解除しないとメモリリーク!
}
③ 非管理リソースの解放忘れ
Unityでは、テクスチャ、オーディオ、ストリームなどの**非管理リソース(Managed以外のリソース)**を適切に解放しないとメモリリークが発生します。
例えば、Texture2D
を手動でロードした場合、Unload
しないとメモリに残り続けます。
Texture2D texture;
void LoadTexture()
{
texture = Resources.Load<Texture2D>("MyTexture");
}
void OnDestroy()
{
Resources.UnloadAsset(texture); // 解放しないとメモリリーク!
}
Unityのプロファイラを活用してメモリリークを検出する
Unityには標準のProfilerがあり、メモリの使用状況を確認できます。
しかし、標準Profilerでは詳細なメモリ分析が難しく、メモリリークの原因特定には限界があります。
より詳細なメモリ分析を行いたい場合には、「Profiler Memory Plus」がおすすめです!
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- 不要なオブジェクトやメモリリークの原因を特定
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まとめ
メモリリークは、オブジェクトやリソースが適切に解放されないことで発生します。特に以下の点に注意しましょう。
✅ 不要なオブジェクトの参照を適切に解放する
✅ イベントリスナーはOnDestroy()
で確実に解除する
✅ 非管理リソース(テクスチャ、オーディオなど)は適切に解放する

メモリリークを防ぐことは、ゲームの安定性を向上させる上で非常に重要です。次のセクションでは、C#のDisposeパターンを活用して、メモリ管理を効率化する方法について解説します!
3. Disposeパターンとは?
Unityのゲーム開発では、メモリの管理がとても重要です。特に、不要になったオブジェクトやリソースを適切に解放しないと、メモリリークの原因になります。ここで役立つのが「Disposeパターン」です。
Disposeパターンの基本概念
Disposeパターンは、C#の IDisposable
インターフェースを使って、オブジェクトが不要になったときに手動でリソースを解放する仕組みです。特に、以下のようなリソースを扱う場合に使用されます。
- ファイルストリーム (
FileStream
やStreamReader
など) - データベース接続 (
SqlConnection
など) - ネットワークリソース (
WebClient
など) - イベントリスナー(メモリリークの原因になりやすい)
- ネイティブリソース(C++やDirectXのリソース管理など)
Unityでは、通常ガベージコレクション(GC)が不要なメモリを自動的に回収してくれますが、GCが管理できないリソース(ファイルやネイティブコードのメモリなど)は、Dispose
メソッドを使って明示的に解放する必要があります。
IDisposableインターフェースの使い方
IDisposable
を実装すると、Dispose
メソッドを定義できます。このメソッドを使って、不要になったリソースを開放します。
基本的な IDisposable
の実装例
using System;
public class ResourceHandler : IDisposable
{
private bool disposed = false;
// ① 解放すべきリソース(例:ファイルストリーム)
private System.IO.FileStream fileStream;
public ResourceHandler(string filePath)
{
fileStream = new System.IO.FileStream(filePath, System.IO.FileMode.Open);
}
// ② Disposeメソッドでリソースを解放する
public void Dispose()
{
Dispose(true);
GC.SuppressFinalize(this); // ガベージコレクションの対象から外す
}
// ③ Disposeの本体
protected virtual void Dispose(bool disposing)
{
if (!disposed)
{
if (disposing)
{
// ④ マネージドリソースの解放
if (fileStream != null)
{
fileStream.Close();
fileStream.Dispose();
}
}
// ⑤ アンマネージドリソースの解放(もしあれば)
disposed = true;
}
}
// ⑥ デストラクタ(GCが回収する際の保険)
~ResourceHandler()
{
Dispose(false);
}
}
Disposeパターンのポイント
Dispose
メソッドを実装するDispose()
の中で、使ったリソースを解放する。
Dispose(bool disposing)
を使ってリソースを適切に解放disposing == true
のときは、マネージドリソース(C#のオブジェクト)を解放する。disposing == false
のときは、アンマネージドリソース(C++やDirectXのリソースなど)だけ解放する。
- デストラクタ (
~クラス名()
) を実装する- もし
Dispose()
を呼び忘れても、デストラクタがGCで解放する。
- もし
GC.SuppressFinalize(this)
を呼び出すDispose()
が明示的に呼ばれたら、デストラクタを無効化してGCの負荷を減らす。
Unityでの活用シーン
Unityでは、以下のようなケースで Dispose
パターンを活用できます。
- 一時的なファイルを開くクラス
- ネットワーク通信の管理
- メモリリークを防ぐためにイベントリスナーを解除するクラス
- ネイティブプラグインを使用する処理(例えば OpenGL や DirectX)
Disposeパターンを使うべき場面
- Unityの
OnDestroy()
では解放できないリソースを扱うとき using
ステートメントで安全にリソースを解放したいとき
using文で安全にDisposeを実行
using
を使うと、スコープを抜けた時点で Dispose()
が自動的に呼ばれます。
using (var handler = new ResourceHandler("test.txt"))
{
// ファイルを操作する
}
// ここでDispose()が自動的に呼ばれる
まとめ
Dispose
パターンは、Unityでメモリリークを防ぐ重要な手法。IDisposable
を実装し、Dispose()
メソッドでリソースを解放する。Dispose(bool disposing)
を使って、マネージド・アンマネージドリソースを適切に管理。using
を使うと、安全にリソースを開放できる。

次のセクションでは 「UnityでDisposeパターンを活用する方法」 を詳しく解説していきます!
4. UnityでDisposeパターンを活用する方法
Unityでゲームを開発すると、メモリ管理が非常に重要になります。特に、オブジェクトの参照が不要になった後も解放されず、メモリを圧迫してしまう「メモリリーク」は、ゲームのパフォーマンスを大きく低下させる原因となります。
ここでは、C#のDisposeパターンをUnityで活用し、メモリ管理を適切に行う方法を解説します。
Disposeパターンとは?
Disposeパターンとは、C#のIDisposable
インターフェースを使用して明示的にリソースを解放する仕組みのことです。通常、C#ではガベージコレクション(GC)が不要なメモリを自動的に回収しますが、**GCが回収できないリソース(ファイル、ネットワーク接続、イベントハンドラーなど)**は、手動で解放する必要があります。
IDisposable
を使うことで、特定のリソースを適切なタイミングで開放し、メモリリークを防ぐことができます。
UnityでDisposeパターンを活用する場面
Unityでは、以下のようなケースでDisposeパターンを活用すると便利です。
- 非管理リソースの解放(ファイル、ストリーム、ネットワーク接続など)
- イベントリスナーの解除
- オブジェクトの明示的な削除
例えば、イベントリスナーを登録したままオブジェクトを破棄すると、不要なイベントが呼び出され続け、メモリリークの原因になります。Disposeパターンを活用することで、このような問題を防ぐことができます。
Disposeパターンの実装方法
それでは、UnityでIDisposable
を実装し、Disposeパターンを活用する方法を紹介します。
① IDisposableを実装したカスタムクラスを作成
まず、IDisposable
を実装したクラスを作成します。
using System;
using UnityEngine;
public class ResourceManager : IDisposable
{
private bool disposed = false; // Disposeが既に呼ばれたかをチェックするフラグ
public void UseResource()
{
Debug.Log("リソースを使用しています...");
}
public void Dispose()
{
// すでに解放されていたら何もしない
if (disposed) return;
Debug.Log("リソースを解放しました。");
disposed = true;
}
}
このクラスでは、Dispose()
メソッドを実装し、リソースを明示的に解放できるようにしています。
② Disposeメソッドを呼び出してリソースを解放
次に、ゲームオブジェクトが破棄されるタイミングでDisposeメソッドを呼び出します。
public class ResourceUser : MonoBehaviour
{
private ResourceManager resourceManager;
private void Start()
{
resourceManager = new ResourceManager();
resourceManager.UseResource();
}
private void OnDestroy()
{
resourceManager.Dispose();
}
}
OnDestroy()
の中でDisposeメソッドを呼ぶことで、オブジェクトが削除されたときに確実にリソースを解放できます。
③ using構文を活用してDisposeを自動実行
C#には、using
構文を使ってDisposeを自動実行する仕組みがあります。これは、リソースを確実に開放するための便利な書き方です。
private void Start()
{
using (ResourceManager resource = new ResourceManager())
{
resource.UseResource();
}
// ここで自動的にDispose()が呼ばれる
}
このように書くことで、スコープを抜けた時点でDisposeが自動的に呼ばれるため、リソースの解放漏れを防ぐことができます。

Unityのメモリ管理を適切に行うためには、Disposeパターンを活用して不要なリソースを適切に解放することが重要です。特に、イベントリスナーや非管理リソースの開放を意識することで、メモリリークを防ぎ、ゲームのパフォーマンスを向上させることができます。
5. イベント管理のベストプラクティス
Unityでは、C#のイベント機能を使ってオブジェクト間の通信を行うことがよくあります。しかし、適切にイベントを管理しないと、メモリリークや意図しないバグの原因になってしまいます。ここでは、イベントを安全に管理するためのベストプラクティスを紹介します。
1. イベントリスナーを適切に解除しないと起こる問題
C#のイベントは、+=
でイベントハンドラー(リスナー)を追加しますが、適切に削除しないと、オブジェクトがガベージコレクション(GC)によって解放されずにメモリに残り続けることがあります。
問題の例
public class EventSubscriber : MonoBehaviour
{
private void OnEnable()
{
EventPublisher.SomeEvent += OnSomeEvent;
}
private void OnDisable()
{
// ここで解除しないとメモリリークの原因になる!
}
private void OnSomeEvent()
{
Debug.Log("イベントが発生しました");
}
}
このコードでは、イベントリスナーを登録していますが、解除していないため、EventSubscriber
オブジェクトが破棄されても OnSomeEvent
が呼ばれ続けてしまいます。
2. += と -= を適切に使う
C#のイベント管理では、イベントリスナーを追加する際に +=
を使いますが、必ず -=
で解除することが重要です。
適切なイベント解除
public class EventSubscriber : MonoBehaviour
{
private void OnEnable()
{
EventPublisher.SomeEvent += OnSomeEvent;
}
private void OnDisable()
{
EventPublisher.SomeEvent -= OnSomeEvent; // イベントリスナーを解除
}
private void OnSomeEvent()
{
Debug.Log("イベントが発生しました");
}
}
OnDisable()
の中で -=
を使ってイベントを解除することで、不要なメモリ使用を防ぎます。
3. OnDestroy() でイベントを解除する
OnDisable()
はオブジェクトが非アクティブになったときにも呼ばれますが、オブジェクトが完全に破棄されるときに確実にイベントを解除するために OnDestroy()
を使うことも有効です。
OnDestroy() を使ったイベント解除
public class EventSubscriber : MonoBehaviour
{
private void OnEnable()
{
EventPublisher.SomeEvent += OnSomeEvent;
}
private void OnDestroy()
{
EventPublisher.SomeEvent -= OnSomeEvent; // オブジェクト破棄時に解除
}
private void OnSomeEvent()
{
Debug.Log("イベントが発生しました");
}
}
この方法を使うと、オブジェクトが完全に削除されたタイミングでイベントが解除されるので、確実にメモリリークを防げます。
4. WeakReference を使ったイベント管理
イベントリスナーが参照を持ち続けることでメモリリークが発生するのを防ぐために、WeakReference
を使うこともできます。
WeakReference を利用した例
using System;
public class WeakEventListener<T> where T : class
{
private WeakReference<T> _weakReference;
private Action<T> _callback;
public WeakEventListener(T target, Action<T> callback)
{
_weakReference = new WeakReference<T>(target);
_callback = callback;
}
public void Invoke()
{
if (_weakReference.TryGetTarget(out T target))
{
_callback(target);
}
}
}
この仕組みを使うことで、オブジェクトがガベージコレクションされる際に、イベントリスナーの参照も自動的に解放されるようになります。
5. イベントを管理するクラスを作成する
ゲームの規模が大きくなると、イベントの管理が複雑になります。そのため、イベント専用のマネージャークラスを作成するのも良い方法です。
イベントを管理するシングルトンクラス
public class EventManager : MonoBehaviour
{
public static event Action GameStarted;
public static void TriggerGameStarted()
{
GameStarted?.Invoke();
}
}
このようにイベント管理を一箇所に集約すると、不要なイベントリスナーが残るリスクを減らせます。
まとめ
+=
でイベントを登録したら、必ず-=
で解除するOnDisable()
やOnDestroy()
を活用して確実にリスナーを削除するWeakReference
を使うことでメモリリークを防ぐことが可能- イベントマネージャーを作成し、イベント管理を一元化する

これらのベストプラクティスを意識することで、メモリリークを防ぎ、安定したゲーム開発が可能になります!
6. 実践コード:Disposeパターンとイベント管理を組み合わせる
ここでは、Disposeパターンを活用しながら、イベントリスナーの適切な解除を行う方法を実際のコードを使って解説します。
6.1 どんな問題を解決するのか?
Unityでイベントを使う際、リスナーの登録 (+=
) だけを行い、解除 (-=
) を忘れると、以下のような問題が発生します。
- メモリリーク:不要なオブジェクトがメモリに残り続ける
- 意図しない動作:破棄されたオブジェクトがイベントを受け続ける
特に、OnDestroy()
でリスナーを解除しないと、シーンを切り替えたときや、ゲームオブジェクトが削除されたときに不要なイベントが発生し続けることになります。
6.2 実践コード
① イベントを持つクラスを作る
まず、イベントを発生させる側のクラスを作ります。
using System;
public class EventPublisher
{
public event Action OnEventTriggered;
public void TriggerEvent()
{
Console.WriteLine("イベントを発生させました!");
OnEventTriggered?.Invoke();
}
}
このクラスは、OnEventTriggered
というイベントを持っており、TriggerEvent()
メソッドを呼び出すとイベントを発生させます。
② IDisposableを実装したリスナーを作る
次に、イベントを受け取るクラスを作成し、Disposeパターンを適用します。
using System;
using UnityEngine;
public class EventListener : IDisposable
{
private EventPublisher _publisher;
public EventListener(EventPublisher publisher)
{
_publisher = publisher;
_publisher.OnEventTriggered += HandleEvent;
}
private void HandleEvent()
{
Debug.Log("イベントを受け取りました!");
}
public void Dispose()
{
if (_publisher != null)
{
_publisher.OnEventTriggered -= HandleEvent;
_publisher = null;
Debug.Log("イベントリスナーを解除しました。");
}
}
}
解説
EventListener
クラスは、イベントが発生するとHandleEvent()
を実行します。Dispose()
メソッドでイベントの解除 (-=
) を行い、メモリリークを防ぎます。
③ UnityのMonoBehaviourでDisposeを適用する
次に、MonoBehaviour
を使って Dispose()
を適切に呼び出す方法を説明します。
using UnityEngine;
public class EventManager : MonoBehaviour
{
private EventPublisher _publisher;
private EventListener _listener;
void Start()
{
_publisher = new EventPublisher();
_listener = new EventListener(_publisher);
_publisher.TriggerEvent();
}
void OnDestroy()
{
_listener?.Dispose(); // シーン切り替え時などに確実にイベントを解除
}
}
解説
Start()
でEventPublisher
とEventListener
を作成し、イベントを登録。OnDestroy()
でDispose()
を呼び出し、イベントの解除を確実に行う。
6.3 Disposeパターンを使うメリット
- イベントの管理が明確になり、リスナーの解除を忘れにくくなる
- シーンを切り替えてもメモリリークを防げる
- 不要なイベント呼び出しを防ぎ、バグを減らせる
6.4 まとめ
Dispose()
を実装すると、イベントリスナーの解除を適切に行えるOnDestroy()
でDispose()
を呼び出せば、メモリリークを防げる- Disposeパターンを適用することで、メモリ管理を最適化できる

この方法を活用し、安定したUnityゲーム開発を進めていきましょう!
7. メモリリークを防ぐためのチェックリスト
Unityでのメモリリークは、ゲームのパフォーマンス低下やクラッシュの原因になるため、しっかりと対策を行うことが重要です。ここでは、メモリリークを防ぐためのチェックリストを紹介します。開発中やデバッグ時にぜひ活用してください!
✅ 1. 不要なオブジェクトを適切に破棄しているか?
オブジェクトが不要になったら、Destroy() を呼び出して破棄しましょう。ただし、Destroy()
だけではメモリから完全に解放されるわけではありません。参照を持っている変数を null
にするなど、適切に解放することが重要です。
void Update() {
if (Input.GetKeyDown(KeyCode.Space)) {
Destroy(gameObject); // オブジェクトを削除
}
}
🔹 注意点:
Destroy()
を呼び出したオブジェクトが他のクラスから参照されている場合、メモリから完全に解放されません。
✅ 2. イベントリスナーを適切に解除しているか?
C#のイベントは、リスナーが解除されずに残ると、オブジェクトが不要になってもメモリが解放されずにリークの原因になります。
void OnEnable() {
SomeEventSystem.OnEventTriggered += HandleEvent;
}
void OnDisable() {
SomeEventSystem.OnEventTriggered -= HandleEvent; // 必ず解除!
}
void HandleEvent() {
Debug.Log("イベント発生!");
}
🔹 注意点:
+=
でイベントを登録したら、必ず-=
で解除するOnDisable()
かOnDestroy()
内で解除するのがベスト
✅ 3. IDisposable を適切に実装しているか?
リソースを明示的に解放するために、IDisposable
を実装し、Dispose()
メソッドを適切に呼び出す習慣をつけましょう。
public class ResourceHandler : IDisposable {
private bool isDisposed = false;
public void Dispose() {
if (!isDisposed) {
// ここでリソース解放
isDisposed = true;
}
}
}
🔹 注意点:
Dispose()
を呼び出し忘れないようにusing
を活用するIDisposable
を実装すると、ガベージコレクション(GC)に頼らず適切にメモリを解放できる
✅ 4. Coroutine を適切に停止しているか?
StartCoroutine()
で開始したコルーチンは、StopCoroutine()
や StopAllCoroutines()
で適切に停止しないと、オブジェクトが破棄された後もメモリに残る可能性があります。
private Coroutine myCoroutine;
void Start() {
myCoroutine = StartCoroutine(MyRoutine());
}
void OnDestroy() {
if (myCoroutine != null) {
StopCoroutine(myCoroutine);
}
}
IEnumerator MyRoutine() {
while (true) {
yield return new WaitForSeconds(1f);
}
}
🔹 注意点:
- コルーチンを
StartCoroutine()
したら、どこかでStopCoroutine()
する StopAllCoroutines()
を使うと、すべてのコルーチンが停止するので、慎重に使うこと
✅ 5. DontDestroyOnLoad を適切に管理しているか?
DontDestroyOnLoad()
を使うと、シーンが変わってもオブジェクトが残るため、不要なオブジェクトがメモリに溜まり続ける可能性があります。
void Awake() {
DontDestroyOnLoad(gameObject);
}
🔹 注意点:
DontDestroyOnLoad()
を使ったオブジェクトは、シーンが切り替わっても破棄されない- 不要になったら手動で
Destroy()
する
✅ 6. Unityのプロファイラを活用しているか?
Unityにはメモリリークを発見するためのツールとして「プロファイラ」があります。特に「Memory」タブを使うと、オブジェクトのメモリ使用量や不要なオブジェクトが解放されているかを確認できます。
プロファイラの使い方
- Unityメニューから
Window
→Analysis
→Profiler
を開く - Memoryタブを選択し、オブジェクトの増減を確認
- 不要なオブジェクトが増え続けている場合はメモリリークの可能性あり!
🔹 チェックポイント:
GC Alloc
の値が急激に増えていないかObjects in Scene
の数が不自然に増え続けていないかMono Heap
やUsed Heap
の値を定期的に確認する
まとめ
メモリリークを防ぐためには、以下のポイントを意識しましょう! ✅ 不要なオブジェクトは適切に破棄する(Destroy & null)
✅ イベントリスナーは必ず解除する(OnDisableで -=)
✅ IDisposable
を実装してリソースを解放する
✅ コルーチンは明示的に停止する
✅ DontDestroyOnLoad のオブジェクトを適切に管理する
✅ Unityのプロファイラを活用してメモリの増加を監視する
これらを効率的に監視・分析するには、Profiler Memory Plusのようなメモリプロファイラーツールが便利です!
このアセットを使えば、リアルタイムでメモリ使用量を可視化でき、メモリリークの原因を素早く特定できます。

このチェックリストを参考に、メモリリークのない安定したゲームを作っていきましょう!🚀
8. まとめ
メモリリークは、Unityのゲーム開発において見落としがちな問題ですが、パフォーマンスの低下やクラッシュの原因になるため、しっかりと対策することが重要です。本記事では、メモリリークを防ぐために Disposeパターン と イベント管理 の2つの方法を紹介しました。
Disposeパターン を活用することで、不要になったオブジェクトのリソースを適切に解放し、メモリの無駄遣いを防ぐことができます。また、イベントリスナーの適切な解除 を行うことで、不要なオブジェクトがガベージコレクションの対象にならずにメモリに残り続ける問題を防ぐことができます。
今すぐ実践すべきポイント
✔ IDisposable
インターフェースを活用してリソース管理を適切に行う
✔ イベントの登録 (+=
) だけでなく、解除 (-=
) を意識する
✔ OnDestroy()
などの適切なタイミングでイベントリスナーを解除する
✔ Unityの プロファイラ を活用してメモリリークを定期的にチェックする
メモリリークをしっかり防ぐことで、ゲームの動作が軽くなり、プレイヤーが快適に遊べるようになります。特に、長時間プレイするゲームや、複数のシーンを切り替えるゲームでは、メモリ管理が大きく影響します。今回紹介したテクニックを活用しながら、安全で安定したゲーム開発を目指しましょう!
よくある質問(FAQ)
- Q
IDisposable
を使うべきタイミングは? - A
IDisposable
を実装すべきなのは、明示的にリソースを解放する必要があるオブジェクトを扱うときです。特に以下のケースではDispose
パターンの使用を検討しましょう。- ファイルやストリームを開く場合(例:
FileStream
やStreamReader
) - データベース接続を使用する場合(例:
SqlConnection
) - ネイティブリソース(外部ライブラリなど)を扱う場合
- Unity内で大量のイベントリスナーやデリゲートを使用する場合(リスナーの解除忘れ防止)
- 一時的なオブジェクトのメモリ管理を明示的に制御したい場合
- ファイルやストリームを開く場合(例:
- QUnityのGC(ガベージコレクション)だけではダメなのか?
- A
UnityのGC(ガベージコレクション)は、自動的に不要なオブジェクトを解放しますが、以下のような場合には手動でリソース管理を行う必要があります。
- GCが即時に動作しない(GCはタイミングを制御できず、負荷の高いフレームで突然動くことがある)
- イベントリスナーやデリゲートが参照を保持し続ける(オブジェクトが解放されず、メモリリークの原因になる)
- ネイティブリソース(C++ライブラリなど)をUnity C#から扱っている場合
GCに頼りすぎると、意図しないメモリリークが発生する可能性があるため、適切なタイミングで
Dispose
やOnDestroy()
を活用しましょう。
- Qイベント管理をミスするとどんなバグが起こる?
- A
イベントリスナーを適切に解除しないと、以下のようなバグやパフォーマンス問題が発生します。
- 不要なイベントが実行され続ける(削除したはずのオブジェクトがイベントを受け取り続ける)
- メモリリークが発生する(リスナーが不要なオブジェクトを参照し続ける)
- オブジェクトが破棄された後にメソッドが呼び出されてエラーが発生する(
NullReferenceException
など) - ゲームのパフォーマンスが低下する(不要な処理が積み重なり、フレームレートが低下)
適切な
-=
(イベント解除)やOnDestroy()
の活用を習慣にしましょう。