1. はじめに
Unityでゲームを開発していると、「非同期処理」という言葉を耳にすることがあるかもしれません。たとえば、「シーンのロード中にゲームをフリーズさせずに処理を続けたい」「Web APIからデータを取得して、結果が返ってくるまで待ちたい」といった場面で役立つのが非同期処理です。
しかし、Unityには非同期処理を実現する方法がいくつかあり、どれを使うべきか迷うこともあるでしょう。特に、Coroutine(コルーチン) と async/await は、どちらも非同期処理を扱うための強力なツールですが、それぞれに得意・不得意があります。
この記事では、
- Coroutine(コルーチン)とは? その基本と使い方
- async/awaitとは? C#の非同期処理の仕組みとUnityでの使い方
- Coroutineとasync/awaitの違い それぞれのメリット・デメリット
- 実践例 Unityでの効果的な非同期処理の活用方法
を詳しく解説します。非同期処理をマスターすれば、スムーズなシーン遷移やデータ取得、エフェクト演出など、より洗練されたゲーム体験 を作ることができます。
それでは、さっそく非同期処理の基本から見ていきましょう!
2. 非同期処理とは?
ゲーム開発において、処理の流れ(フロー)をどのように制御するか は非常に重要です。特に、重い処理を適切に扱わないと、ゲームがカクついたり、一時的にフリーズしてしまうことがあります。この問題を解決する方法の一つが 非同期処理 です。
同期処理 vs 非同期処理
まずは、同期処理と非同期処理の違いを理解しましょう。
- 同期処理(Synchronous Processing)
処理を 順番に実行 する方式です。ある処理が完了しないと次の処理が始まりません。たとえば、ボタンを押してWebサーバーからデータを取得する場合、データの受信が完了するまでゲーム全体の処理が止まることになります。例(同期処理)csharpコピーする編集するvoid LoadData() { var data = GetDataFromServer(); // サーバーからデータ取得(時間がかかる) Debug.Log("データ取得完了: " + data); }
この場合、GetDataFromServer()
の処理が終わるまで、他の処理は一切進みません。 - 非同期処理(Asynchronous Processing)
処理を待たずに次の処理を進められる 方式です。たとえば、データの取得を別のスレッドで行い、その間に他の処理を進めることができます。これにより、ユーザーに対してスムーズな操作感を提供できます。例(非同期処理)csharpコピーする編集するasync void LoadDataAsync() { var data = await GetDataFromServerAsync(); // データ取得中でも他の処理が進行 Debug.Log("データ取得完了: " + data); }
このコードでは、データ取得の待機中にゲームの他の部分は通常通り動作します。
Unityにおける非同期処理の活用例
Unityのゲーム開発では、次のような場面で非同期処理が役立ちます。
- シーンのロード
SceneManager.LoadSceneAsync()
を使えば、ゲームをフリーズさせずに新しいシーンを読み込めます。
- Web APIからのデータ取得
UnityWebRequest
やasync/await
を使えば、ネットワーク通信が完了するのを待ちながら、他の処理を続行できます。
- アセットのロード
Addressables
やResources.LoadAsync()
を使うことで、大きなアセットを読み込みながらゲームの進行を維持できます。
- スムーズなアニメーションや演出
Coroutine
を使って、徐々に変化する動作(フェードイン・アウト、オブジェクトの移動など)を実現できます。
Unityにおける非同期処理の代表的な手法
Unityでは、主に Coroutine(コルーチン) と async/await の2つの方法で非同期処理を実装できます。
非同期処理の種類 | 特徴 |
---|---|
Coroutine | Unity独自の仕組みで、ゲームオブジェクトに依存する。フレーム単位で処理を分割できる。 |
async/await | C#の標準的な非同期処理で、ネットワーク通信やファイル読み込みに向いている。 |
次のステップでは、それぞれの詳細な使い方を見ていきましょう!
3. Coroutine(コルーチン)とは?
コルーチン(Coroutine) は、Unity独自の非同期処理の仕組みで、特定の処理を 複数のフレームにまたがって少しずつ実行する ことができます。例えば、「一定時間ごとに敵をスポーンさせる」「徐々にオブジェクトを移動させる」などの処理を実装するときに便利です。
コルーチンの基本的な使い方
コルーチンを使うには、IEnumerator
を返すメソッド を作成し、yield return
を使って処理を分割します。
基本形
using System.Collections;
using UnityEngine;
public class CoroutineExample : MonoBehaviour
{
void Start()
{
StartCoroutine(ExampleCoroutine()); // コルーチンの開始
}
IEnumerator ExampleCoroutine()
{
Debug.Log("3秒待機開始");
yield return new WaitForSeconds(3); // 3秒待機
Debug.Log("3秒経過後の処理");
}
}
解説
IEnumerator
を返すメソッド(ExampleCoroutine
)を作成する。yield return new WaitForSeconds(3);
で3秒間待機する。StartCoroutine(ExampleCoroutine())
を呼び出すことで、コルーチンが開始される。
このコードを実行すると、Start
メソッドでコルーチンが開始され、3秒後に次の処理が実行 されます。
yield return の使い方
コルーチンでは、yield return
を使って処理の実行を一時停止し、特定のタイミングで再開できます。
yield return の種類 | 説明 |
---|---|
yield return null; | 次のフレームまで待機する |
yield return new WaitForSeconds(x); | 指定した秒数 x だけ待機する |
yield return new WaitUntil(condition); | condition が true になるまで待機する |
yield return new WaitWhile(condition); | condition が false になるまで待機する |
例:一定時間ごとに処理を実行
IEnumerator RepeatAction()
{
while (true)
{
Debug.Log("1秒ごとに実行");
yield return new WaitForSeconds(1);
}
}
このコードを StartCoroutine(RepeatAction())
で呼び出すと、1秒ごとにログが出力 され続けます。
コルーチンを停止する方法
コルーチンを途中で止めたい場合は、StopCoroutine()
または StopAllCoroutines()
を使います。
コルーチンの停止
Coroutine coroutine;
void Start()
{
coroutine = StartCoroutine(ExampleCoroutine());
Invoke("StopMyCoroutine", 5); // 5秒後に停止
}
void StopMyCoroutine()
{
StopCoroutine(coroutine);
Debug.Log("コルーチンを停止しました");
}
StopCoroutine(coroutine);
を実行すると、そのコルーチンが途中で終了します。
また、すべてのコルーチンを強制終了したい場合は StopAllCoroutines();
を使います。
コルーチンの実践例
例1:スムーズな移動処理
IEnumerator MoveObject(GameObject obj, Vector3 targetPosition, float duration)
{
Vector3 startPosition = obj.transform.position;
float elapsedTime = 0;
while (elapsedTime < duration)
{
obj.transform.position = Vector3.Lerp(startPosition, targetPosition, elapsedTime / duration);
elapsedTime += Time.deltaTime;
yield return null; // 次のフレームまで待機
}
obj.transform.position = targetPosition; // 最終地点にセット
}
この関数を StartCoroutine(MoveObject(myObject, new Vector3(5, 0, 0), 2));
のように呼び出すと、myObject
が 2秒かけてスムーズに移動 します。
例2:フェードイン・フェードアウト
IEnumerator FadeOut(CanvasGroup canvasGroup, float duration)
{
float elapsedTime = 0;
while (elapsedTime < duration)
{
canvasGroup.alpha = 1 - (elapsedTime / duration);
elapsedTime += Time.deltaTime;
yield return null;
}
canvasGroup.alpha = 0;
}
StartCoroutine(FadeOut(myCanvasGroup, 1.5f));
のように呼び出すと、1.5秒かけてUIがフェードアウト します。
コルーチンのメリット・デメリット
✅ メリット
- フレームごとに処理を分割できる ので、ゲームが止まらずスムーズに動作する。
- 簡単に時間制御ができる (
WaitForSeconds
やWaitUntil
など)。 - スクリプトがシンプルになる (複雑な処理を段階的に書ける)。
❌ デメリット
- ゲームオブジェクトが無効化されると、コルーチンが強制終了 する。
- 戻り値を返せない(計算結果を受け取る処理には向いていない)。
- スレッドを分けることはできない(CPUの負荷を分散する処理には向かない)。
まとめ
- コルーチンはUnity独自の非同期処理 であり、フレーム単位で処理を分割できる。
yield return
を使うことで、特定の時間待機したり、条件を満たすまで待つことができる。- スムーズな移動、エフェクト演出、時間制御 などに適している。
- ただし、スレッドをまたぐような処理(ネットワーク通信や重い計算処理)には向かない。
次のステップでは、C#の標準的な非同期処理 async/await
を解説していきます!
4. async/awaitとは?
async/await は、C#における非同期処理を記述するための仕組みです。
Unityでは、ネットワーク通信やファイルの読み込みなど、時間がかかる処理をスムーズに実行 するために使われます。
async/await の基本
同期処理(通常の処理)
通常のC#メソッドは、処理が完了するまで次の処理を待ちます。例えば、Web APIからデータを取得する処理 を同期的に書くと、次のようになります。
string LoadData()
{
// 仮のデータ取得処理(実際は時間がかかる)
System.Threading.Thread.Sleep(3000); // 3秒待つ
return "データを取得しました";
}
void Start()
{
string result = LoadData();
Debug.Log(result);
}
このコードでは、LoadData()
が終わるまで 3秒間ゲームがフリーズ してしまいます。これでは、プレイヤーが操作できず、ストレスを感じてしまうでしょう。
async/await を使った非同期処理
ここで async/await を使うと、フリーズせずに処理を進めることができます。
using System.Threading.Tasks;
using UnityEngine;
public class AsyncExample : MonoBehaviour
{
async void Start()
{
string result = await LoadDataAsync(); // 非同期処理を実行
Debug.Log(result);
}
async Task<string> LoadDataAsync()
{
await Task.Delay(3000); // 3秒待機(スレッドをブロックしない)
return "データを取得しました(非同期)";
}
}
解説
async Task<string> LoadDataAsync()
のように asyncキーワード を付けてメソッドを作成。await Task.Delay(3000);
で 3秒待機 するが、メインスレッドはブロックされない。await LoadDataAsync();
で 処理を待ちながら、他の処理も並行して実行 できる。
このコードでは、LoadDataAsync()
の完了を待っている間も、ゲームの他の処理は通常通り動き続けます!
async/await のメリット
✅ メインスレッドをブロックしない → ゲームのフレーム更新が止まらない!
✅ 戻り値を扱える → Task<T>
を使うことで、非同期処理の結果を受け取れる!
✅ エラーハンドリングがしやすい → try-catch
で例外をキャッチできる!
Unityでの async/await の活用例
Unityでは、次のような場面で async/await
を使うことが多いです。
① Web API からデータ取得
using UnityEngine;
using UnityEngine.Networking;
using System.Threading.Tasks;
public class WebRequestExample : MonoBehaviour
{
async void Start()
{
string url = "https://jsonplaceholder.typicode.com/todos/1";
string result = await FetchDataAsync(url);
Debug.Log(result);
}
async Task<string> FetchDataAsync(string url)
{
using (UnityWebRequest request = UnityWebRequest.Get(url))
{
var operation = request.SendWebRequest();
while (!operation.isDone)
{
await Task.Yield(); // フレームをまたいで待機
}
if (request.result != UnityWebRequest.Result.Success)
{
Debug.LogError("データ取得失敗: " + request.error);
return null;
}
return request.downloadHandler.text;
}
}
}
🔹 Web APIの応答を待ちながら、他の処理を進められる!
🔹 await Task.Yield();
を使うことで、ゲームのフリーズを防ぐ。
② ファイルの読み書き
using System.IO;
using System.Threading.Tasks;
using UnityEngine;
public class FileExample : MonoBehaviour
{
async void Start()
{
string path = Application.persistentDataPath + "/test.txt";
await WriteToFileAsync(path, "Hello, Unity!");
string content = await ReadFromFileAsync(path);
Debug.Log("ファイルの内容: " + content);
}
async Task WriteToFileAsync(string path, string content)
{
await File.WriteAllTextAsync(path, content);
}
async Task<string> ReadFromFileAsync(string path)
{
if (File.Exists(path))
{
return await File.ReadAllTextAsync(path);
}
return "ファイルが存在しません";
}
}
🔹 ファイルの入出力を非同期で処理できる!
🔹 大きなデータを扱ってもゲームが止まらない!
async/await と Coroutine(コルーチン)の違い
比較項目 | Coroutine(コルーチン) | async/await |
---|---|---|
Unity独自の機能 | ✅ あり | ❌ なし |
スレッドの分割 | ❌ できない | ✅ 可能 |
戻り値の受け取り | ❌ 不可 (IEnumerator は値を返さない) | ✅ 可能 (Task<T> で受け取れる) |
エラーハンドリング | ❌ 例外処理が難しい | ✅ try-catch で簡単 |
フレーム単位の制御 | ✅ 可能 (yield return ) | ❌ 不可 |
用途 | シーン遷移、アニメーション制御など | ネットワーク通信、ファイル入出力など |
async/await のデメリット
❌ Unityのメインスレッドと連携しにくい
→ await
を使うと、別スレッドで処理されるため、UnityのGameObjectやUIに直接アクセスするとエラーになることがある。
解決策: UnityMainThreadDispatcher
を使う or Task.Yield()
を活用!
await Task.Yield(); // メインスレッドに戻る
❌ ゲームオブジェクトが破棄されると処理が続く可能性
→ CancellationToken
を使うと安全に中断できる。
まとめ
async/await
は C#の非同期処理の仕組み であり、スレッドを分けて処理ができる。- ネットワーク通信やファイル入出力に適している。
Task<T>
を使えば非同期処理の結果を受け取れる ため、柔軟なプログラムが可能。- エラーハンドリングが簡単(
try-catch
が使える)。 - Unityのメインスレッドと連携する際は注意が必要(
Task.Yield()
などを活用)。
次のステップでは、Coroutineとasync/awaitの具体的な違いと、どちらを使うべきかを詳しく解説 していきます!
5. Coroutineとasync/awaitの違い
Unityの非同期処理を実装する際、Coroutine(コルーチン) と async/await のどちらを使うべきか迷うことがあるでしょう。それぞれの特徴や使い分けを理解することで、最適な選択ができるようになります。
Coroutineとasync/awaitの基本的な違い
項目 | Coroutine(コルーチン) | async/await |
---|---|---|
主な用途 | Unity内のフレーム単位の処理(アニメーション、時間制御) | スレッドをまたぐ処理(ネットワーク通信、ファイル操作) |
Unityのメインスレッド | ✅ 維持される(GameObject操作OK) | ❌ 別スレッドになる場合あり(GameObject操作NGのケースあり) |
戻り値の受け取り | ❌ できない (IEnumerator は値を返さない) | ✅ Task<T> で結果を取得可能 |
エラーハンドリング | ❌ 例外処理が難しい (try-catch が使えない) | ✅ try-catch で簡単に例外処理ができる |
スレッドの使用 | ❌ できない(メインスレッドのみ) | ✅ 可能(バックグラウンドスレッドで処理できる) |
パフォーマンス | 軽い(メインスレッド上で実行) | スレッド処理が可能だが、状況によってはオーバーヘッドが発生 |
用途 | シーン遷移、アニメーション、エフェクト、敵のスポーンなど | APIリクエスト、ファイル入出力、重い計算処理など |
どちらを使うべき?用途ごとの選択基準
✅ Coroutine を使うべきケース
- フレーム単位の制御が必要な場合
yield return
を使って フレームごとに処理を分割 できるため、アニメーションや時間制御に向いている。- 例: オブジェクトの移動、フェードイン/アウト、敵のスポーン
- UnityのGameObjectを直接操作する場合
async/await
では バックグラウンドスレッドに移動する可能性 があるため、GameObjectやUIの操作には向いていない。
- 簡単な待機処理
yield return new WaitForSeconds(2);
で簡単に時間待機ができる。
✅ async/await を使うべきケース
- 重い処理をバックグラウンドで実行したい場合
Task.Run(() => { })
を使えば、CPUをブロックせずに重い処理を並行実行 できる。- 例: 画像の解析、AI計算、大量データ処理
- 非同期のAPI通信
UnityWebRequest
やHttpClient
で サーバーからデータを取得する際に、処理の完了を待ちつつ他の処理を続行 できる。
- ファイルの読み書き
File.ReadAllTextAsync()
やFile.WriteAllTextAsync()
など、C#の 非同期ファイル操作を活用 したい場合に適している。
実際の使い分け例
【Coroutineを使う場合】オブジェクトを滑らかに移動
IEnumerator MoveObject(GameObject obj, Vector3 target, float duration)
{
Vector3 start = obj.transform.position;
float elapsedTime = 0;
while (elapsedTime < duration)
{
obj.transform.position = Vector3.Lerp(start, target, elapsedTime / duration);
elapsedTime += Time.deltaTime;
yield return null; // 次のフレームまで待機
}
obj.transform.position = target;
}
✅ メリット
yield return null;
を使って 毎フレーム更新 できるため、スムーズな動作が可能。- メインスレッドで実行されるため、GameObjectの操作に問題がない。
【async/awaitを使う場合】Web API からデータ取得
using UnityEngine;
using UnityEngine.Networking;
using System.Threading.Tasks;
public class WebRequestExample : MonoBehaviour
{
async void Start()
{
string url = "https://jsonplaceholder.typicode.com/todos/1";
string result = await FetchDataAsync(url);
Debug.Log(result);
}
async Task<string> FetchDataAsync(string url)
{
using (UnityWebRequest request = UnityWebRequest.Get(url))
{
var operation = request.SendWebRequest();
while (!operation.isDone)
{
await Task.Yield(); // フレームをまたいで待機
}
if (request.result != UnityWebRequest.Result.Success)
{
Debug.LogError("データ取得失敗: " + request.error);
return null;
}
return request.downloadHandler.text;
}
}
}
✅ メリット
- サーバーの応答を待つ間に他の処理を進められる!
Task.Yield();
を使えば フレームごとに処理を進められるため、パフォーマンスを確保できる!
Coroutine と async/await の組み合わせ
場合によっては、両者を組み合わせることで、より柔軟な非同期処理 が可能になります。
【組み合わせ例】非同期のWeb API通信をコルーチンで待機
IEnumerator FetchDataAndDisplay()
{
Task<string> task = FetchDataAsync("https://example.com/api");
yield return new WaitUntil(() => task.IsCompleted); // タスク完了まで待機
Debug.Log("取得したデータ: " + task.Result);
}
async Task<string> FetchDataAsync(string url)
{
using (UnityWebRequest request = UnityWebRequest.Get(url))
{
var operation = request.SendWebRequest();
while (!operation.isDone)
{
await Task.Yield();
}
if (request.result != UnityWebRequest.Result.Success)
{
Debug.LogError("データ取得失敗: " + request.error);
return null;
}
return request.downloadHandler.text;
}
}
✅ メリット
- Web APIのデータ取得は
async/await
で処理 - コルーチンでタスクの完了を待機し、メインスレッドで安全に処理
まとめ
どちらを使うべき?
✅ Coroutine
- シーン遷移やアニメーション、エフェクトなど、フレームごとに処理したいとき
yield return
で 時間制御を簡単にしたいとき- UnityのGameObjectを操作する場合
✅ async/await
- ネットワーク通信やファイルの読み書き など、スレッドをまたぐ処理 に向いている
Task<T>
を使って 非同期処理の結果を受け取りたいとき- try-catch でエラーハンドリングを簡単にしたいとき
組み合わせることで、より高度な非同期処理が可能に!
次のステップでは、実践的な活用例を紹介していきます!
6. 実践!非同期処理の活用例
ここまでで Coroutine(コルーチン) と async/await の違いや特徴を学びました。
このセクションでは、Unityのゲーム開発で役立つ 実践的な非同期処理の活用例 を紹介します!
① シーン遷移をスムーズに行う(Coroutine)
ゲームのシーンをロードするときに、一瞬画面が止まる 経験をしたことはありませんか?SceneManager.LoadScene()
をそのまま使うと、シーンの読み込みが終わるまでゲームがフリーズ してしまいます。
✅ 解決策:非同期ロードを行う
Unityの LoadSceneAsync()
を コルーチン を使ってスムーズに処理しましょう!
using UnityEngine;
using UnityEngine.SceneManagement;
using System.Collections;
public class SceneLoader : MonoBehaviour
{
public void LoadNewScene()
{
StartCoroutine(LoadSceneCoroutine("GameScene"));
}
IEnumerator LoadSceneCoroutine(string sceneName)
{
AsyncOperation operation = SceneManager.LoadSceneAsync(sceneName);
operation.allowSceneActivation = false; // すぐにシーンを切り替えない
while (!operation.isDone)
{
Debug.Log("読み込み進行度: " + (operation.progress * 100) + "%");
// 読み込みが90%を超えたらシーンを切り替える
if (operation.progress >= 0.9f)
{
operation.allowSceneActivation = true;
}
yield return null;
}
}
}
✅ メリット
SceneManager.LoadSceneAsync()
を使って ゲームをフリーズさせずにシーンをロード- 読み込み進行度を表示 できるので、ロード画面を作成しやすい
② Web APIからデータを取得する(async/await)
ネットワーク通信を行う際、APIのレスポンス待ちでゲームが止まらないように するには、async/await
を活用しましょう。
✅ Web APIからデータを取得
using UnityEngine;
using UnityEngine.Networking;
using System.Threading.Tasks;
public class APIClient : MonoBehaviour
{
async void Start()
{
string url = "https://jsonplaceholder.typicode.com/todos/1";
string data = await FetchDataAsync(url);
Debug.Log("取得したデータ: " + data);
}
async Task<string> FetchDataAsync(string url)
{
using (UnityWebRequest request = UnityWebRequest.Get(url))
{
var operation = request.SendWebRequest();
while (!operation.isDone)
{
await Task.Yield(); // フレームをまたいで待機
}
if (request.result != UnityWebRequest.Result.Success)
{
Debug.LogError("データ取得失敗: " + request.error);
return null;
}
return request.downloadHandler.text;
}
}
}
✅ メリット
- APIのレスポンスを待ちながら、他の処理を進められる
- データ取得後に処理を続けることができる
③ オブジェクトをスムーズに動かす(Coroutine)
オブジェクトを 一定時間かけて移動 したい場合、コルーチンを使うとスムーズに処理できます。
✅ オブジェクトの移動アニメーション
IEnumerator MoveObject(GameObject obj, Vector3 target, float duration)
{
Vector3 start = obj.transform.position;
float elapsedTime = 0;
while (elapsedTime < duration)
{
obj.transform.position = Vector3.Lerp(start, target, elapsedTime / duration);
elapsedTime += Time.deltaTime;
yield return null; // 次のフレームまで待機
}
obj.transform.position = target;
}
🔹 Lerp
を使って、開始地点から目的地へ徐々に移動 するアニメーションを実装!
🔹 yield return null;
を使って、毎フレームごとに少しずつ処理 する。
④ 重い計算処理をバックグラウンドで実行(async/await)
AIの計算や画像処理など、CPU負荷の高い処理 をメインスレッドで実行すると、ゲームがカクついてしまいます。Task.Run()
を使って、別スレッドで計算処理 を行いましょう。
✅ 重い計算処理を非同期で実行
using System;
using System.Threading.Tasks;
using UnityEngine;
public class HeavyCalculation : MonoBehaviour
{
async void Start()
{
int result = await RunHeavyTask();
Debug.Log("計算結果: " + result);
}
async Task<int> RunHeavyTask()
{
return await Task.Run(() =>
{
int sum = 0;
for (int i = 0; i < 100000000; i++)
{
sum += i;
}
return sum;
});
}
}
✅ メリット
Task.Run()
を使って メインスレッドをブロックせずに計算await
で 処理完了後に結果を受け取る
⑤ ファイルを非同期で読み書き(async/await)
ゲームデータの保存・読み込みを行う際に、同期処理だとゲームが止まる 可能性があります。File.ReadAllTextAsync()
を使って、スムーズなデータ処理 を実装しましょう。
✅ 非同期でファイルの読み書き
using System.IO;
using System.Threading.Tasks;
using UnityEngine;
public class FileHandler : MonoBehaviour
{
async void Start()
{
string path = Application.persistentDataPath + "/test.txt";
await WriteToFileAsync(path, "Hello, Unity!");
string content = await ReadFromFileAsync(path);
Debug.Log("ファイルの内容: " + content);
}
async Task WriteToFileAsync(string path, string content)
{
await File.WriteAllTextAsync(path, content);
}
async Task<string> ReadFromFileAsync(string path)
{
if (File.Exists(path))
{
return await File.ReadAllTextAsync(path);
}
return "ファイルが存在しません";
}
}
✅ メリット
- ファイルの読み書きを待ちながら、他の処理を継続できる
await
を使って 処理完了後にデータを取得
まとめ
🔥 実践的な非同期処理の活用法 🔥
ケース | 使うべき手法 |
---|---|
シーン遷移をスムーズに | Coroutine + SceneManager.LoadSceneAsync() |
Web API からデータ取得 | async/await + UnityWebRequest |
オブジェクトのアニメーション | Coroutine + Lerp() |
重い計算を非同期で実行 | async/await + Task.Run() |
ファイルの非同期読み書き | async/await + File.ReadAllTextAsync() |
Unityでは 「フレーム単位の処理」なら Coroutine、「スレッドをまたぐ処理」なら async/await が適しています!
次のステップでは、よくある質問(FAQ) を解説していきます!
よくある質問(FAQ)
- QCoroutineとasync/awaitを同時に使うことはできる?
- A
✅ 可能です!
それぞれ得意な処理が異なるため、適切に使い分けることでより効率的なコードが書けます。例えば、Web API からデータを取得する部分は
async/await
を使い、そのデータを使って UI を更新する部分はCoroutine
を使う というように、組み合わせることができます。例:async/await でデータを取得し、Coroutine でUIをフェードイン
IEnumerator FadeIn(CanvasGroup canvasGroup, float duration)
{
float elapsedTime = 0;
while (elapsedTime < duration)
{
canvasGroup.alpha = elapsedTime / duration;
elapsedTime += Time.deltaTime;
yield return null;
}
canvasGroup.alpha = 1;
}
async void Start()
{
string data = await FetchDataAsync("https://example.com/api");
Debug.Log("データ取得完了: " + data);
StartCoroutine(FadeIn(GetComponent<CanvasGroup>(), 1f)); // UIをフェードイン
}
- Qasync/awaitはUnityのメインスレッドをブロックしないの?
- A
✅ 基本的にはブロックしません。
async/await
は 非同期処理をスレッドで分けて実行 できるため、重い処理を実行してもゲームが止まることはありません。ただし、
Task.Run()
を使うとバックグラウンドスレッドで処理されるため、UnityのGameObjectやUIを直接変更するとエラーになる ことがあります。解決策:Unityのメインスレッドに戻る
async Task UpdateUIAsync(string text)
{
await Task.Yield(); // メインスレッドに戻る
myTextComponent.text = text; // UI更新
}
- Q
Task.Run()
を使えばUnityのパフォーマンスは向上する? - A
✅ ケースによります。
Task.Run()
を使うと CPU処理を別スレッドで実行 できるため、重い計算処理(例:AIの処理、大量データの計算) では有効です。しかし、UnityのGameObjectやコンポーネントの操作には使えません!
GameObjectの操作はメインスレッドで実行される必要があるため、Task.Run()
を使うとエラーになることがあります。✅
Task.Run()
が適しているケース- 画像や音声データの処理
- 大量の計算(例:経路探索アルゴリズム)
- ファイルの圧縮・展開