UnityUnityメモ

【実践】UnityのAddressablesでロード時間を劇的短縮!ゲーム開発の最適化テクニック

Unity
  1. 1. はじめに
  2. 2. Addressablesの基本概念
    1. Addressablesと従来のアセット管理の違い
    2. Addressablesの主要機能
    3. まとめ
  3. 3. Addressablesの導入方法
    1. ステップ1:Addressablesパッケージのインストール
    2. ステップ2:Addressablesの初期化
    3. ステップ3:アセットをAddressablesに登録する
    4. ステップ4:Addressablesを使ってアセットをロードする
    5. ステップ5:アセットのビルドと確認
    6. まとめ
  4. 4. Addressablesを使用したアセットのロード
    1. ステップ1:基本的なアセットのロード
    2. ステップ2:シーンのロード
    3. ステップ3:アセットのアンロード(メモリ管理)
    4. まとめ
  5. 5. Addressablesを活用した最適化テクニック
    1. ステップ1:シーンの非同期ロード(LoadSceneAsync)
    2. ステップ2:メモリ負荷を抑えるアセットの分割
    3. ステップ3:Addressables Profilerを使用したパフォーマンス分析
    4. まとめ
  6. 6. Addressablesでのリモートアセット管理
    1. ステップ1:リモートアセットとは?
    2. ステップ2:リモートアセットの設定
    3. ステップ3:リモートアセットのロード
    4. ステップ4:キャッシュ管理
    5. まとめ
  7. 7. トラブルシューティングとよくあるエラーの対処法
    1. エラー1:アセットがロードされない
    2. エラー2:リモートアセットがロードされない
    3. エラー3:メモリリークが発生する
    4. エラー4:Addressablesのロードが遅い
    5. エラー5:Addressablesのカタログが更新されない
    6. まとめ
  8. 8. まとめ
    1. Addressablesのポイントをおさらい
    2. 今後の活用方法
  9. よくある質問(FAQ)
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1. はじめに

ゲームをプレイしていると、長いロード時間にイライラした経験はありませんか?特に大規模なゲームでは、アセットのロードに時間がかかり、プレイヤーの没入感が損なわれることがあります。そこで、Unityの**Addressables(アドレッサブル)**を活用することで、ロード時間を短縮し、スムーズなゲーム体験を提供できるのです。

Addressablesとは?

Addressablesとは、Unityが提供する柔軟なアセット管理システムです。従来のResourcesフォルダやAssetBundleと異なり、アセットをアドレス(名前)で管理できるのが特徴です。これにより、開発中でもアセットのロード方法を簡単に変更でき、ゲームのパフォーマンスを向上させることができます。

Addressablesを活用するメリット

Addressablesを導入すると、次のようなメリットがあります。

  1. ロード時間の短縮
    • 必要なアセットのみをオンデマンドでロードできるため、初期ロード時間を削減できます。
  2. メモリ使用量の最適化
    • 使わなくなったアセットを適切にアンロードでき、メモリリークを防げます。
  3. リモートアセットの活用
    • クラウドやCDNからアセットを取得することで、ゲームの容量を抑えることができます。
  4. シーンやアセットの非同期ロードが可能
    • ゲームの動作を止めずにアセットをロードできるため、プレイヤーのストレスを軽減します。

このように、Addressablesを活用することでゲームのロード時間を最適化し、プレイヤーに快適な体験を提供できます。この記事では、Addressablesの導入方法から、実際のアセット管理、ロードの最適化テクニックまで詳しく解説していきます。




2. Addressablesの基本概念

Addressablesは、Unityの柔軟なアセット管理システムの一つで、アセットを「アドレス(名前)」で管理することができる仕組みです。従来のAssetBundleやResourcesフォルダを使用した管理方法と比べて、開発の柔軟性が高く、メモリ管理やロード時間の最適化が容易になるメリットがあります。


Addressablesと従来のアセット管理の違い

Unityでアセットを管理する方法はいくつかありますが、特に従来のResourcesフォルダAssetBundleとの違いを理解することが重要です。

管理方法特徴メリットデメリット
Resourcesフォルダプロジェクト内にあるアセットを簡単にロードできるコードで直接アセットをロード可能ビルド時にすべてのアセットが含まれるため、容量が増加
AssetBundle必要なアセットのみをバンドル化してロードできるメモリ管理がしやすく、最適化が可能事前にバンドルを作成する必要があるため、管理が複雑
Addressablesアドレス指定でアセットを動的に管理できる依存関係を自動管理し、非同期ロードも可能最初に導入・設定する手間が必要

Addressablesは、AssetBundleの利点を引き継ぎつつ、より使いやすい形に進化したものです。特に、Resourcesフォルダのデメリットである「ビルドサイズの増加」や、AssetBundleの「管理の複雑さ」を解決するために設計されています。


Addressablesの主要機能

Addressablesには、ゲームのロード時間やメモリ管理を改善するための機能がいくつかあります。ここでは、代表的な機能を紹介します。

① アドレス指定によるアセット管理

従来のAssetBundleは、事前にバンドルを作成して手動で管理する必要がありました。しかし、Addressablesでは、各アセットに「アドレス(名前)」を付けることで簡単にアクセスできるようになります。

例:プレハブをAddressables経由でロードする

using UnityEngine;
using UnityEngine.AddressableAssets;
using UnityEngine.ResourceManagement.AsyncOperations;

public class LoadExample : MonoBehaviour
{
void Start()
{
Addressables.LoadAssetAsync<GameObject>("MyPrefab").Completed += OnLoadComplete;
}

void OnLoadComplete(AsyncOperationHandle<GameObject> obj)
{
if (obj.Status == AsyncOperationStatus.Succeeded)
{
Instantiate(obj.Result);
}
}
}

このように、アドレスを指定するだけで、AssetBundleのような事前の準備なしに動的にアセットをロードすることができます。


② 非同期ロードのサポート

Addressablesでは、アセットを非同期でロードできるため、ゲームのパフォーマンスを大きく向上させることができます。

例えば、シーンをロードする場合、通常のSceneManager.LoadScene()だとゲームが一時停止してしまいます。しかし、Addressablesを使うと、バックグラウンドでロードしてスムーズに切り替えることができます。

例:非同期でシーンをロードする

using UnityEngine;
using UnityEngine.AddressableAssets;
using UnityEngine.ResourceManagement.AsyncOperations;

public class SceneLoader : MonoBehaviour
{
public void LoadNewScene()
{
Addressables.LoadSceneAsync("NewScene");
}
}

この方法なら、プレイヤーがゲームをプレイしながら新しいシーンをロードできるため、ロード時間を短縮し、快適なゲーム体験を提供できます。


③ 依存関係の自動管理

通常、AssetBundleを使用する場合、関連するアセット(テクスチャ、マテリアルなど)の依存関係を手動で管理する必要があります。しかし、Addressablesを使用すると、Unityが自動で依存関係を処理してくれるため、開発者が手作業で設定する手間を省けます。

例えば、あるキャラクターのプレハブがマテリアルやアニメーションを参照している場合、それらのアセットも自動的にロードされるため、開発の効率が向上します。


まとめ

  • Addressablesは、従来のResourcesフォルダやAssetBundleより柔軟で効率的なアセット管理方法を提供する。
  • アドレス指定で簡単にアセットをロードできるため、AssetBundleのような手動管理が不要。
  • 非同期ロードに対応しており、ゲームのロード時間を短縮し、プレイヤー体験を向上できる。
  • 依存関係を自動管理することで、開発の手間を大幅に軽減できる。

次のセクションでは、実際にAddressablesを導入し、アセットを管理する方法を詳しく解説していきます。




3. Addressablesの導入方法

ここからは、UnityプロジェクトにAddressablesを導入し、アセットを管理する方法を解説していきます。実際にUnityで作業しながら進められるよう、ステップごとに詳しく説明していきます。


ステップ1:Addressablesパッケージのインストール

Addressablesを使用するには、UnityのPackage Managerからパッケージを追加する必要があります。

  1. Unityの**「Window」→「Package Manager」**を開く
  2. **「Unity Registry」**を選択し、検索バーに「Addressables」と入力
  3. **「Addressables」パッケージを選択し、「Install」**をクリック

パッケージがインストールされると、Unityのメニューに**「Window」→「Asset Management」→「Addressables」→「Groups」**が追加されます。


ステップ2:Addressablesの初期化

Addressablesを使用するには、プロジェクトにAddressablesをセットアップする必要があります。

  1. **「Window」→「Asset Management」→「Addressables」→「Groups」**を開く
  2. 右上の**「Create Addressables Settings」**をクリック
    (これで「AddressableAssetSettings」という設定ファイルが作成されます)
  3. Addressablesの基本セットアップが完了し、アセットの管理が可能になります

ステップ3:アセットをAddressablesに登録する

次に、特定のアセットをAddressablesで管理できるように設定してみましょう。

  1. 「Project」ウィンドウで任意のアセット(プレハブやテクスチャなど)を選択
  2. 「Inspector」ウィンドウで「Addressable」にチェックを入れる
  3. 自動的に「アセットのアドレス(名前)」が設定される
    (※デフォルトではアセットのパスがアドレスとして使用されます)
  4. アドレスを変更したい場合は、「Inspector」内のアドレス欄を編集すればOK

これで、そのアセットはAddressablesを使ってロードできるようになりました。




ステップ4:Addressablesを使ってアセットをロードする

では、Addressablesを使用してプレハブをゲーム内にロードするスクリプトを書いてみましょう。

  1. プロジェクトウィンドウを右クリック
  2. 「Create」→「C# Script」を選んで、新しいスクリプトを作成し、「LoadAddressable」と名前を付ける
  3. 以下のコードを入力する
using UnityEngine;
using UnityEngine.AddressableAssets;
using UnityEngine.ResourceManagement.AsyncOperations;

public class LoadAddressable : MonoBehaviour
{
public string prefabAddress; // アセットのアドレスを指定

void Start()
{
// Addressablesからプレハブを非同期ロード
Addressables.LoadAssetAsync<GameObject>(prefabAddress).Completed += OnLoadComplete;
}

void OnLoadComplete(AsyncOperationHandle<GameObject> obj)
{
if (obj.Status == AsyncOperationStatus.Succeeded)
{
// ロードが成功したらプレハブを生成
Instantiate(obj.Result);
}
else
{
Debug.LogError("Addressablesのロードに失敗しました");
}
}
}

このスクリプトをシーン内の適当なGameObjectにアタッチし、prefabAddressロードしたいアセットのアドレスを入力すると、ゲーム開始時にアセットが非同期でロードされます。


ステップ5:アセットのビルドと確認

Addressablesを使用するには、アセットを事前にビルドする必要があります。

  1. 「Window」→「Asset Management」→「Addressables」→「Groups」 を開く
  2. 「Build」→「New Build」→「Default Build Script」 をクリック
  3. UnityがAddressablesの設定をもとにアセットをビルドし、ロードできる状態になります

まとめ

  • Addressablesパッケージをインストールし、プロジェクトにセットアップする
  • アセットを「Addressable」に設定し、アドレスで管理できるようにする
  • Addressablesを使った非同期ロードスクリプトを実装
  • アセットをビルドして、正しく動作するか確認

この手順を進めれば、UnityプロジェクトにAddressablesを簡単に導入し、ゲームのロードを最適化できます!




4. Addressablesを使用したアセットのロード

Addressablesの基本設定が完了したので、次に実際にアセットをロードする方法について詳しく解説していきます。Addressablesを活用することで、ロード時間の短縮やメモリ管理の最適化が可能になります。


ステップ1:基本的なアセットのロード

まずは、Addressablesを使ってプレハブを非同期でロードする基本的な方法を見ていきましょう。

① プレハブのロード

Addressablesでは、アセットを**「アドレス(名前)」で指定してロード**します。以下のスクリプトを作成して、プレハブをロードしてみましょう。

  1. プロジェクトウィンドウを右クリック
  2. 「Create」→「C# Script」を選んで、新しいスクリプトを作成し、「AddressablesLoader」と名前を付ける
  3. 以下のコードを入力する
using UnityEngine;
using UnityEngine.AddressableAssets;
using UnityEngine.ResourceManagement.AsyncOperations;

public class AddressablesLoader : MonoBehaviour
{
public string prefabAddress; // Addressablesで設定したアセットのアドレス

void Start()
{
// Addressablesを使用してプレハブを非同期ロード
Addressables.LoadAssetAsync<GameObject>(prefabAddress).Completed += OnLoadComplete;
}

void OnLoadComplete(AsyncOperationHandle<GameObject> obj)
{
if (obj.Status == AsyncOperationStatus.Succeeded)
{
// ロード成功時にプレハブをインスタンス化
Instantiate(obj.Result);
}
else
{
Debug.LogError("Addressablesのロードに失敗しました");
}
}
}

コードのポイント

  • Addressables.LoadAssetAsync<GameObject>(アドレス名)
    → 指定したアセットを非同期でロードします。
  • Completedイベントでロード完了後に処理を実行できます。
  • 成功時にInstantiate(obj.Result)ロードしたプレハブを生成します。



ステップ2:シーンのロード

次に、Addressablesを使ってシーンを非同期ロードする方法を見ていきます。

① シーンをAddressablesに登録

  1. Projectウィンドウの「Assets」フォルダ内でシーンファイル(.unity)を選択
  2. Inspectorウィンドウで「Addressable」にチェックを入れる
  3. アドレス名を設定(例:「GameScene」)

② スクリプトを作成

  1. 新しいC#スクリプト「SceneLoader」を作成
  2. 以下のコードを入力する
using UnityEngine;
using UnityEngine.AddressableAssets;
using UnityEngine.ResourceManagement.AsyncOperations;
using UnityEngine.SceneManagement;

public class SceneLoader : MonoBehaviour
{
public string sceneAddress; // Addressablesに登録したシーンのアドレス

public void LoadScene()
{
// Addressablesを使ってシーンを非同期ロード
Addressables.LoadSceneAsync(sceneAddress);
}
}

コードのポイント

  • Addressables.LoadSceneAsync(シーンアドレス)
    ロード時間を短縮しつつ、スムーズにシーンを切り替え可能です。

ステップ3:アセットのアンロード(メモリ管理)

Addressablesを使うと、不要になったアセットを適切にアンロードすることで、メモリを最適化できます。

① 不要なアセットを解放する

ロードしたアセットを手動で解放するには、Addressables.Release() を使います。

例:ロードしたアセットを解放する

void OnDestroy()
{
Addressables.Release(obj);
}

これにより、不要なアセットを明示的にメモリから解放できます。


まとめ

  • アセットの非同期ロードAddressables.LoadAssetAsync<GameObject>()
  • シーンの非同期ロードAddressables.LoadSceneAsync()
  • 不要なアセットのアンロードAddressables.Release()

この方法を活用すれば、ロード時間を短縮しつつ、メモリの負荷を抑えることが可能です!




5. Addressablesを活用した最適化テクニック

Addressablesを導入することで、ゲームのロード時間を短縮し、メモリ管理を最適化できます。しかし、さらに効率的なゲーム開発を行うには、適切なロード戦略を取ることが重要です。ここでは、Addressablesを活用した最適化テクニックを詳しく解説します。


ステップ1:シーンの非同期ロード(LoadSceneAsync)

Addressablesを使えば、シーンのロードを非同期で行い、ゲームのフレームレートを維持したままスムーズな遷移が可能になります。

① シーンを非同期ロードする方法

以前のセクションでも紹介しましたが、Addressablesでシーンをロードするには以下のコードを使います。

using UnityEngine;
using UnityEngine.AddressableAssets;
using UnityEngine.ResourceManagement.AsyncOperations;

public class SceneLoader : MonoBehaviour
{
public string sceneAddress; // Addressablesで設定したシーンのアドレス

public void LoadScene()
{
Addressables.LoadSceneAsync(sceneAddress);
}
}

この方法を使うことで、ゲームを止めることなくバックグラウンドで新しいシーンをロードできます。

② シーン遷移時に不要なメモリを解放

シーン遷移時に、前のシーンのアセットを適切に解放しないと、メモリが圧迫されてしまいます。そのため、シーンを切り替える際に、以下のように前のシーンを解放することが重要です。

using UnityEngine;
using UnityEngine.AddressableAssets;
using UnityEngine.ResourceManagement.AsyncOperations;

public class SceneLoader : MonoBehaviour
{
public string sceneAddress;

public void LoadScene()
{
Addressables.UnloadSceneAsync(SceneManager.GetActiveScene().name);
Addressables.LoadSceneAsync(sceneAddress);
}
}

このコードを使うと、現在のシーンを解放しつつ、新しいシーンをロードすることができます。




ステップ2:メモリ負荷を抑えるアセットの分割

Addressablesでは、ゲームのロードパフォーマンスを向上させるために、アセットを適切に分割することが推奨されています。

① グループ化(Addressable Groups)を活用する

Unityの**「Window」→「Asset Management」→「Addressables」→「Groups」**を開くと、Addressablesのグループ管理画面が表示されます。

  • 小さな頻繁に使用するアセット(UIやアイコンなど)常にメモリにロード
  • サイズが大きいアセット(3Dモデルやアニメーション)オンデマンドでロード
  • 特定のシーン専用のアセットそのシーンでのみロードし、不要になったらアンロード

このようにアセットを適切にグループ分けすることで、ゲームのメモリ管理を最適化できます。


ステップ3:Addressables Profilerを使用したパフォーマンス分析

Unityには、Addressablesのパフォーマンスをリアルタイムで分析するツールが用意されています。

① Addressables Profilerの使い方

  1. Unityの「Window」→「Analysis」→「Profiler」 を開く
  2. 「Add Profiler Module」ボタンをクリック
  3. 「Addressables」カテゴリーから「Memory」や「Load Operations」などを選択
  4. 実行中のゲームのメモリ消費量やアセットのロード状況をリアルタイムで確認できる

② メモリリークを防ぐためのチェックポイント

  • 不要なアセットがメモリに残っていないか?
  • ロード回数が異常に多くなっていないか?
  • 非同期ロードが適切に動作しているか?

Addressables Profilerを活用することで、無駄なメモリ使用を減らし、パフォーマンスを向上させることができます。


まとめ

  • シーンを非同期でロードし、スムーズな遷移を実現
  • 不要なアセットをアンロードして、メモリの無駄を削減
  • Addressable Groupsを活用して、アセットを適切に管理
  • Profilerを使用して、メモリリークやパフォーマンス問題を分析

これらの最適化テクニックを活用することで、ゲームのロード時間を短縮し、スムーズなプレイ体験を提供できます!




6. Addressablesでのリモートアセット管理

Addressablesの強力な機能の一つが、リモートアセット管理です。これは、ゲームのサイズを抑えたり、新しいコンテンツを更新したりするのに便利な機能です。ここでは、リモートアセットの基本概念と設定方法を詳しく解説します。


ステップ1:リモートアセットとは?

通常、ゲームのアセット(3Dモデル、テクスチャ、サウンドなど)は、ローカルのプロジェクト内に含まれます。しかし、リモートアセットを使用すると、クラウドやサーバーから必要なアセットだけをダウンロードすることができます。

リモートアセットを利用するメリット

  1. ゲームのビルドサイズを削減
    • 必要なデータのみをオンデマンドでロードできるため、ゲームのサイズを小さくできます。
  2. リアルタイムでコンテンツを更新可能
    • アプリのアップデートなしで、新しいアセットを追加できます。
  3. プレイヤーごとに異なるアセットを配信可能
    • ユーザーの環境や進行状況に応じて異なるアセットを提供できます。

ステップ2:リモートアセットの設定

リモートアセットを設定するには、以下の手順を実行します。

① アセットをリモートグループに設定

  1. 「Window」→「Asset Management」→「Addressables」→「Groups」 を開く
  2. 新しいグループを作成(「Create New Group」)
  3. 「Hosting Mode」を「Remote」 に設定
  4. リモートにしたいアセットをこのグループに追加
  5. 「Build & Load Path」を「Remote」パスに変更
    • RemoteBuildPath: [UnityEngine.AddressableAssets.Addressables.BuildPath]/[BuildTarget]
    • RemoteLoadPath: https://your-server-address.com/[BuildTarget]

② リモートアセットをビルドする

リモートアセットをビルドしてアップロードするには、次の手順を実行します。

  1. 「Build」→「New Build」→「Default Build Script」 をクリックしてビルド
  2. リモートサーバーにアセットをアップロード
    • FTPやクラウドストレージ(AWS, Google Cloud, Firebaseなど)を利用
  3. ゲーム側のアドレスを更新
    • RemoteLoadPath をサーバーのURLに設定
  4. リモートアセットが正しくロードできるか確認



ステップ3:リモートアセットのロード

リモートアセットをロードする方法は、通常のAddressablesのロード方法とほぼ同じです。

① リモートアセットをロード

using UnityEngine;
using UnityEngine.AddressableAssets;
using UnityEngine.ResourceManagement.AsyncOperations;

public class RemoteAssetLoader : MonoBehaviour
{
public string remoteAssetAddress; // リモートアセットのアドレス

void Start()
{
Addressables.LoadAssetAsync<GameObject>(remoteAssetAddress).Completed += OnLoadComplete;
}

void OnLoadComplete(AsyncOperationHandle<GameObject> obj)
{
if (obj.Status == AsyncOperationStatus.Succeeded)
{
Instantiate(obj.Result);
}
else
{
Debug.LogError("リモートアセットのロードに失敗しました");
}
}
}

② リモートアセットの更新

リモートアセットを更新するには、AddressablesのCatalog更新を行います。

  1. 「Addressables」→「Check for Content Update」 をクリック
  2. 更新されたアセットのみをビルド
  3. 「Update a Previous Build」 を実行し、サーバーにアップロード

ステップ4:キャッシュ管理

リモートアセットは、ロード時にキャッシュされますが、古いアセットが更新されない問題が発生することがあります。その場合は、キャッシュをクリアすることが重要です。

① キャッシュをクリアする方法

using UnityEngine.AddressableAssets;
using UnityEngine.ResourceManagement.ResourceLocations;
using UnityEngine.ResourceManagement.AsyncOperations;

public class ClearCache : MonoBehaviour
{
public void ClearAllCache()
{
Addressables.ClearResourceLocators();
}
}

このスクリプトを実行することで、キャッシュをリセットし、最新のリモートアセットを取得できます。


まとめ

  • リモートアセットを使用すると、ゲームサイズを削減し、新しいコンテンツをリアルタイムで配信可能
  • Addressables Groupsでリモートアセットを設定し、サーバーにアップロード
  • 通常のAddressablesと同様に、リモートアセットも非同期ロード可能
  • キャッシュ管理を適切に行い、アセットの更新が正しく反映されるようにする

この方法を活用することで、ゲームをアップデートせずに新しいアセットを追加したり、メモリ管理を最適化することができます!




7. トラブルシューティングとよくあるエラーの対処法

Addressablesを使い始めると、アセットのロードエラーやメモリ管理の問題に遭遇することがあります。ここでは、よくあるエラーとその解決策を紹介します。


エラー1:アセットがロードされない

✅ 原因

  • アセットのアドレスが間違っている
  • Addressablesのビルドをしていない
  • 必要なアセットがAddressablesに登録されていない

🔧 解決策

  1. アドレス名を確認する
    • 「Window」→「Asset Management」→「Addressables」→「Groups」 を開き、アセットのアドレスを確認。
    • スクリプトで指定しているアドレスと一致しているかチェック。
  2. Addressablesのビルドを実行
    • 「Build」→「New Build」→「Default Build Script」 を実行。
  3. アセットがAddressablesに登録されているか確認
    • Inspectorで「Addressable」にチェックが入っているか確認。
    • Addressablesのグループにアセットが追加されているかチェック。

エラー2:リモートアセットがロードされない

✅ 原因

  • アセットが正しくサーバーにアップロードされていない
  • RemoteLoadPath が正しく設定されていない
  • キャッシュが古い

🔧 解決策

  1. サーバーにアップロードされているか確認
    • https://your-server-address.com/[BuildTarget] にアクセスし、アセットが存在するかチェック。
  2. RemoteLoadPath の設定を確認
    • Addressablesの**「Groups」**画面で RemoteLoadPath が正しく設定されているか確認。
  3. キャッシュをクリア
    • Addressablesのキャッシュが古いと、更新されたアセットが読み込まれないことがあります。
    • 以下のコードを実行し、キャッシュをクリア。
using UnityEngine.AddressableAssets;

public class ClearCache : MonoBehaviour
{
public void ClearAllCache()
{
Addressables.ClearResourceLocators();
}
}

エラー3:メモリリークが発生する

✅ 原因

  • Addressablesのリソースが適切に解放されていない
  • アセットを頻繁にロードしすぎている

🔧 解決策

  1. 不要なアセットを明示的に解放
    • Addressablesでロードしたアセットは、Addressables.Release() を使って手動で解放する。
using UnityEngine;
using UnityEngine.AddressableAssets;
using UnityEngine.ResourceManagement.AsyncOperations;

public class MemoryManagement : MonoBehaviour
{
private AsyncOperationHandle<GameObject> handle;

void LoadAsset(string address)
{
handle = Addressables.LoadAssetAsync<GameObject>(address);
}

void OnDestroy()
{
Addressables.Release(handle);
}
}
  1. Profilerでメモリ使用量を確認
    • 「Window」→「Analysis」→「Profiler」 を開き、「Memory」タブをチェック。



エラー4:Addressablesのロードが遅い

✅ 原因

  • アセットが大きすぎる
  • 不要なアセットがすべて一度にロードされている

🔧 解決策

  1. アセットを適切にグループ化
    • 使用頻度の高いアセット → メモリに常駐(ローカルグループ)
    • サイズの大きいアセット → 必要なときだけロード(リモートグループ)
  2. 非同期ロードを適切に活用
    • LoadAssetAsync() を使用して、必要なときだけロード。

エラー5:Addressablesのカタログが更新されない

✅ 原因

  • アセットのビルド後、カタログを更新していない
  • ゲームが古いカタログを使用している

🔧 解決策

  1. カタログを更新
    • 「Addressables」→「Check for Content Update」 をクリック。
    • 「Update a Previous Build」 を実行し、サーバーにアップロード。
  2. カタログを手動でリロード
    • スクリプトでカタログを手動で更新する。
using UnityEngine.AddressableAssets;

public class UpdateCatalog : MonoBehaviour
{
void Start()
{
Addressables.CheckForCatalogUpdates().Completed += OnCatalogUpdated;
}

void OnCatalogUpdated(UnityEngine.ResourceManagement.AsyncOperations.AsyncOperationHandle<System.Collections.Generic.List<string>> obj)
{
Addressables.UpdateCatalogs();
}
}

まとめ

  • アセットがロードされない → アドレスやビルドをチェック
  • リモートアセットがロードされないRemoteLoadPath やサーバー設定を確認
  • メモリリークが発生するAddressables.Release() を使用
  • ロードが遅い → アセットのサイズやロード方法を見直す
  • カタログが更新されないUpdateCatalogs() を実行

これらの対処法を活用すれば、Addressablesの問題を素早く解決できます!




8. まとめ

この記事では、UnityのAddressablesを活用してゲームのロード時間を短縮し、最適化する方法を詳しく解説しました。Addressablesを正しく活用することで、ゲームのパフォーマンスを向上させ、プレイヤーに快適なゲーム体験を提供できます。


Addressablesのポイントをおさらい

アセットを効率的に管理

  • 従来のResourcesフォルダやAssetBundleよりも柔軟にアセット管理が可能
  • アセットをアドレス(名前)で管理し、開発の自由度を向上

ロード時間の短縮

  • 非同期ロードにより、ゲームの処理を止めずにアセットを取得
  • 不要なアセットは適宜アンロードし、メモリ負荷を削減

リモートアセットでゲームのアップデートを簡単に

  • クラウドやCDNからアセットを配信することで、アプリのサイズを小さく
  • ユーザーにアプリの再インストールなしで新しいコンテンツを提供

最適化テクニックを活用

  • シーンの非同期ロード (LoadSceneAsync()) でスムーズなシーン遷移
  • Profilerを使用し、メモリリークやロードの遅延をチェック

トラブルシューティングでエラーを回避

  • Addressablesのアドレス設定やビルドを適切に行う
  • リモートアセットがロードされない場合は、キャッシュをクリアする
  • カタログ更新 (UpdateCatalogs()) で最新アセットを正しく取得

今後の活用方法

  • ゲーム開発の初期段階からAddressablesを導入し、最適化を意識
  • Addressables Profilerを活用し、メモリとパフォーマンスを継続的に監視
  • クラウドストレージやCDNを活用して、よりスケーラブルなアセット管理を実現

Addressablesを活用すれば、高品質なゲームを効率的に開発できるようになります。ぜひ、プロジェクトに導入してみてください!




よくある質問(FAQ)

Q
Addressablesはどんなゲームに向いていますか?
A

大規模なゲームや頻繁にアップデートが必要なゲームに最適です。例えば、オープンワールドゲーム、オンラインゲーム、DLCを追加するタイプのゲームなどに適しています。

Q
Addressablesは小規模なプロジェクトでも使うべきですか?
A

小規模なゲームでもロード時間やメモリ管理を最適化する目的で導入する価値があります。ただし、シンプルなゲームなら従来の管理方法でも十分な場合があります。

Q
Addressablesを使うとゲームのビルドサイズは減りますか?
A

はい、適切に使用すればビルドサイズを抑えることが可能です。特に、リモートアセットを活用すれば、ゲームの初回インストールサイズを大幅に削減できます。

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