1. はじめに
Unityでゲームを作っていると「ロード中に画面が固まる」「通信が終わるまで何もできない」といった状況に出会ったことはありませんか? これは処理をすべて同期的に進めてしまうことで、メインスレッドが止まってしまうのが原因です。
ゲームは常にフレームごとに描画が続いているため、ちょっとした「待ち時間」がそのままフリーズのように見えてしまうんですね。 そこで活躍するのが非同期処理です。
非同期処理をうまく使うことで、
・ロード中でもアニメーションやUIを動かせる
・演出が終わるまで自然に「待つ」ことができる
・通信や重い処理を裏で実行しつつ、ゲームをスムーズに動かせる
といったメリットが得られます。
この記事では、Unityにおける非同期処理の基本から、代表的な手法であるCoroutineとTask(async/await)の違いと使い分け、さらに両者を相互に変換する方法までを体系的に解説していきます。
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2. 同期処理と非同期処理の違い
まずは基本となる「同期処理」と「非同期処理」の違いをしっかり理解しておきましょう。
同期処理とは?
同期処理は「ひとつの処理が終わるまで次に進まない」動き方をします。 たとえば、アイテムリストの画像をすべて読み込んでから次の処理に進むといった流れです。
ただし、ゲームのようにリアルタイムで描画を続ける環境では、重たい処理を同期で実行してしまうと画面が一瞬固まってしまいます。プレイヤーからすると「バグかな?」と思われる原因になってしまうので要注意です。
非同期処理とは?
非同期処理は「重い処理を待たずに進める」動き方をします。 処理Aが時間のかかるタスクだったとしても、ゲーム自体はそのまま動き続け、処理Aが完了したらあらかじめ登録しておいたコールバックやawaitで結果を受け取ることができます。
これにより、ロード画面中でもBGMやアニメーションを動かしたり、プレイヤーに待ち時間を感じさせにくくすることができるのです。

同期処理はシンプルでわかりやすいですが、ゲームの快適さを損なう恐れがあります。 一方で非同期処理を取り入れることで、待ち時間を自然に演出に変えたり、裏で通信やデータ処理を行いながらスムーズなプレイ体験を提供できるのです。
3. 非同期処理と並列処理の違い
「非同期処理」と「並列処理」は混同されやすい言葉ですが、実はまったく別の概念です。ここを理解しておくと、Unityでどんな技術を使うべきか判断しやすくなります。
非同期処理とは?
非同期処理は「メインスレッドを止めずに、処理の完了を待たずに進める」ことを指します。 Unityでよく使われるのは Coroutine や async/await(Task) で、
・アニメーションが終わるまで待つ
・通信が完了するまで裏で処理を進める
といったシーンで活躍します。
並列処理とは?
並列処理は「複数の処理を同時に走らせる」ことです。CPUの複数コアを活用して重たい計算を同時並行で実行するイメージですね。 Unityでは C# Job System や Burst Compiler が代表的な並列処理の仕組みです。これを使うと物理演算やAI計算のような負荷の高い処理を効率的に分散できます。
違いのまとめ
- 非同期処理:待ち時間をスムーズに扱う(処理の順番を工夫してメインスレッドを止めない)
- 並列処理:処理そのものを分割して複数のCPUコアで同時に実行する

つまり、非同期処理は「待ちを工夫する技術」、並列処理は「同時に処理する技術」と覚えておくと分かりやすいですよ。
4. Unityで使える非同期処理の主要手法
Unityで非同期処理を扱う代表的な手法は大きく分けてTask(async/await)とCoroutineの2つです。 それぞれに特徴と得意な場面があるので、順番に見ていきましょう。
4-1. Task(async/await)
TaskはC#標準の非同期処理の仕組みです。asyncとawaitを組み合わせることで、非同期処理を直感的に記述できます。
例えば、1秒待ってから処理を続けたい場合は次のように書きます。
private async void Start()
{
Debug.Log("処理開始");
await Task.Delay(1000); // 1秒待機
Debug.Log("処理再開");
}
ただし注意点もあります。Task.Runを使って別スレッドで処理を動かすと、Unity API(例:transform.position)には直接アクセスできません。Unityはメインスレッド以外からのアクセスを許可していないためです。
このようなケースでは、結果だけを受け取り、UIやオブジェクト操作はメインスレッドで行う工夫が必要になります。
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4-2. Coroutine
Coroutine(コルーチン)はUnity独自の非同期処理機構です。 IEnumeratorを返す関数をStartCoroutine()で呼び出し、yield returnを使って処理の一時停止・再開を制御します。
private IEnumerator WaitExample()
{
Debug.Log("処理開始");
yield return new WaitForSeconds(1f); // 1秒待機
Debug.Log("処理再開");
}
Coroutineは常にメインスレッド上で動作するため、Unity APIをそのまま扱えるのが強みです。 一方で、重い計算処理をコルーチンで書いてしまうとメインスレッドを圧迫してしまうので注意が必要です。
4-3. UniTaskやUniRxなどのライブラリ
サードパーティ製ライブラリを使うと、さらに便利に非同期処理を記述できます。
- UniTask:async/awaitをUnity向けに最適化した軽量ライブラリ。Coroutineとの橋渡しも簡単。
- UniRx:リアクティブプログラミングの概念をUnityで活用できるライブラリ。イベントドリブンな非同期処理に便利。
5. TaskとCoroutineの使い分け
「結局、TaskとCoroutineのどちらを使えばいいの?」と迷う方は多いと思います。 それぞれの強みと適したケースをまとめてみましょう。
5-1. 使い分けの基本方針
| 手法 | 適しているケース |
|---|---|
| Task(async/await) | ・通信やファイル読み書きなどのI/O処理 ・AI計算など重たい処理を別スレッドで動かしたいとき ・処理完了後に結果を受け取りたいとき |
| Coroutine | ・演出の「待ち時間」を表現したいとき ・フレーム単位で制御する処理(アニメーションやタイマー) ・Unity APIを直接使いたいとき |
| 両者の併用 | ・通信(Task)と演出(Coroutine)を並行して進めたいとき ・結果をUIに反映するため、TaskとCoroutineを橋渡しする必要があるとき |
5-2. 実際のシナリオ例
- オンラインゲームのログイン処理:通信部分はTask、UI演出はCoroutineで担当。
- アイテム取得演出:Coroutineでアニメーション → Taskでサーバー保存。
- ロード画面:Taskで非同期読み込み → Coroutineでプログレスバー更新。

このように、それぞれの得意分野を活かして使い分けるのがベストです。 無理にどちらか片方に統一する必要はなく、「Taskは裏方、Coroutineは表舞台」とイメージすると覚えやすいですよ。
6. 相互変換
Unityの開発では「TaskとCoroutineの両方を使いたい」場面がよく出てきます。 例えば「通信処理(Task)」と「画面演出(Coroutine)」を同時に進めるといったケースです。 そんなとき役立つのが相互変換のテクニックです。
6-1. Task → Coroutine に変換する
Taskで時間のかかる処理を行い、その完了をCoroutineで待ちたい場合は WaitUntil を利用します。
// TaskをCoroutineで待機する例
private IEnumerator RunTaskInCoroutine()
{
var calcTask = Task.Run(() =>
{
// 重たい処理をシミュレート
Thread.Sleep(2000);
return 42;
});
// Taskが完了するまで待機
yield return new WaitUntil(() => calcTask.IsCompleted);
Debug.Log("計算結果: " + calcTask.Result);
}
このようにすることで、Unity APIを安全に呼びながらTaskの完了を待つことができます。
6-2. Coroutine → Task に変換する
逆に、Coroutineが終わるまでTask側で待ちたい場合は、拡張クラスを用意して管理します。
// CoroutineをTask化するサンプル
public static Task RunCoroutine(MonoBehaviour owner, IEnumerator coroutine)
{
var tcs = new TaskCompletionSource<bool>();
owner.StartCoroutine(Wrap(coroutine, tcs));
return tcs.Task;
}
private static IEnumerator Wrap(IEnumerator coroutine, TaskCompletionSource<bool> tcs)
{
yield return coroutine;
tcs.SetResult(true);
}
これで await RunCoroutine(this, MyCoroutine()) のように記述でき、 TaskとCoroutineをシームレスに扱えるようになります。
6-3. デバッグを効率化する
相互変換を駆使するとコードが複雑になりがちです。ログが増えると確認も大変になりますよね。 そんなときに便利なのがEditor Console Proです。
強力な検索・フィルタ機能で、非同期処理のログ確認やデバッグ効率が大幅にアップします。
7. まとめ
今回は、Unityにおける非同期処理の基本概念から、Task(async/await)とCoroutineの特徴、使い分け、そして相互変換の方法までを体系的に解説しました。
- 同期処理は簡単だがゲームのフリーズを招く可能性がある
- 非同期処理を使うことで「待ち時間」を自然に扱える
- Taskは重い処理やI/O操作に、Coroutineは演出やタイマー制御に向いている
- 相互変換をマスターすれば「通信+演出」など複雑なシナリオも柔軟に対応できる
非同期処理を正しく理解すれば、ロード中も快適に動き続けるゲームや、自然な演出を持つアプリを作ることができます。 まずは小さなサンプルから試して、徐々に実プロジェクトへ応用してみましょう。
また、学習や実装をスムーズに進めるために、補助ツールや参考書籍を取り入れるのもおすすめです。
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参考リンク
さらに詳しく学びたい方は、Unity公式の解説もあわせてチェックしてみてください。
👉 Unity公式:非同期処理に関する学習記事一覧
あわせて読みたい
今回の記事とあわせてチェックしておくと理解が深まる関連記事をまとめました。 非同期処理の理解を広げたり、パフォーマンス最適化のヒントが得られるはずです。
- 【完全解説】Unityの非同期処理!Coroutineとasync/awaitの違いと使い方
- Unityでスレッド処理を活用する方法!Job SystemとBurst Compilerで高速化
- 【徹底解説】Unityのガベージコレクション(GC)を最適化してゲームの処理落ちを防ぐ方法
- UnityのTimeクラスを徹底解説!正確な時間管理をマスターしよう
よくある質問(FAQ)
- QTaskとCoroutine、どちらを優先して覚えるべき?
- A
まずはCoroutineを覚えるのがおすすめです。理由は、Unityに標準で備わっていて導入が簡単だからです。 演出や待ち時間を扱う処理ではCoroutineがすぐに役立ちます。その上で、通信や重い処理を扱うときにTaskを学ぶと理解がスムーズになります。
- Q非同期処理中にUnity APIを呼ぶとエラーになるのはなぜ?
- A
Unityの多くのAPIはメインスレッド専用で設計されているためです。 別スレッド(Task.Runなど)から
transformやGameObjectにアクセスするとUnityExceptionが発生します。 回避するには、処理結果をメインスレッドに戻してからAPIを操作しましょう。
- QUniTaskを使うと何が便利になる?
- A
UniTaskは、
async/awaitをUnity向けに最適化した軽量ライブラリです。 Coroutineと同じようにフレーム制御を扱えるほか、Taskよりもパフォーマンスが良く、GC(ガベージコレクション)の発生を抑えられるのが特徴です。 「async/awaitを使いたいけどUnity向けに最適化したい」という方におすすめですよ。







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