1. はじめに
Unityでゲームを作っていると、「もっとオリジナル感のある見た目を表現したい」と思う瞬間ってありますよね。 そんなときに役立つのが、Shader Graph(シェーダーグラフ)です。Shader Graphは、プログラミングのコードを書かなくても、ノードをつなぐだけでシェーダーを作れるUnity公式のツール。エンジニアだけでなく、デザイナーやプランナーでも直感的に扱えるのが魅力です。
シェーダーと聞くと難しそうに感じるかもしれませんが、色を変えたり、テクスチャを動かしたりと、ちょっとした工夫でグラフィックがぐんと映えるようになります。初心者の方でも、基本を押さえれば「自分だけのエフェクト」を作れるようになるんですよ。
ちなみに、より高度な表現やプロ向けのカスタマイズをしたい方には、Amplify Shader Editor というアセットも人気です。Shader Graphで基礎を学んでから挑戦すれば、表現の幅が大きく広がります。
この記事では、Shader Graphの基本から具体的な使い方まで、初心者の方でも安心して進められるように解説していきます。ゲームにちょっとした魔法をかけるような気持ちで、シェーダー作りを楽しんでいきましょう♪
2. Shader Graphの基本を知ろう
Shader Graphは、ノードベースでシェーダーを作るためのビジュアルツールです。コードを書かずに、ノードをつないでいくことで「色」「光」「テクスチャの動き」などを直感的に表現できます。 Unityに標準で組み込まれているため、特別な準備をしなくてもURP(Universal Render Pipeline)やHDRPを選んだプロジェクトならすぐに使えます。

ノードベースの仕組み
ノードとは、シェーダーを構成するパーツのようなもの。左側に「入力」、右側に「出力」があり、線でつないでいくと「処理の流れ」を作れます。たとえば「色を選ぶノード」と「出力ノード」をつなぐだけで、オブジェクトの色を自由に変えられるようになるんです。
Shader Graphウィンドウの主な要素
- Blackboard:シェーダーで使うプロパティ(色やテクスチャなど)を一覧管理する場所
- Master Stack:シェーダーの最終出力。見た目をここで決定します
- Graph Inspector:選択中のノードやプロパティを編集できるパネル
- Main Preview:作ったシェーダーをリアルタイムに確認できるプレビュー画面
動作環境の準備
Shader Graphを使うには、Unityで新規プロジェクトを作成する際に「3D(URP)」を選びましょう。これだけで自動的にShader Graphがセットアップされるので、すぐに試せますよ。 もし「もっとリッチな描画」を目指すならHDRPを選ぶのもアリですが、まずはURPで学ぶのが安心です。
Shader Graphの使い方についてさらに詳しく知りたい方は、Unity公式ドキュメントの Shader Graph入門ガイド も参考になります。

Shader Graphを理解しておくと、後で紹介する「Stylized Water 2」のようなシェーダーアセットを使ったときも仕組みがわかりやすくなります。次は、実際にシェーダーを作ってオブジェクトに適用する流れを見ていきましょう!
3. Shader Graphの基本手順(3ステップ)
Shader Graphを使ってオリジナルのシェーダーを作成し、オブジェクトに反映するまでの流れはとてもシンプルです。ここでは、初心者でもすぐに試せる3つのステップを紹介します。
① Shader Graphファイルの作成
- Unityのメニューから
Assets > Create > Shader Graph > URP > Unlit Shader Graphを選択します。 - 新しく作成されたShaderファイルに、わかりやすい名前を付けましょう(例:MyFirstShader)。
- 「Unlit」はライトの影響を受けないシェーダー、「Lit」はライトを反映するシェーダーです。用途に応じて選択してください。
② マテリアルを作成してシェーダーをセット
- メニューから
Assets > Create > Materialを選び、新しいマテリアルを作成します。 - 作成したShaderファイルを、このマテリアルにドラッグ&ドロップすると、シェーダーが反映されます。
- Shader Graphファイルを右クリックして
Create > Materialを選ぶと、自動的にそのシェーダー専用のマテリアルが作成されるので、こちらも便利です。
③ オブジェクトにマテリアルを適用
- ヒエラルキーで右クリック →
3D Object > Quadを選択し、シーンにオブジェクトを配置します。 - QuadのInspectorに、作成したマテリアルをドラッグ&ドロップ。
- これで、Shader Graphで作ったシェーダーが反映され、シーンビューに表示されます。

ここまでできれば、あなたのオリジナルシェーダーがゲームに登場! 特に「水」や「光沢」のような表現は人気が高く、Shader Graphと相性抜群です。例えば、水面表現を手軽に実現できるStylized Water 2を導入すると、学んだ知識をすぐに活かせますよ。
4. 基本的なシェーダーの作り方
Shader Graphでは、ノードをつなぐだけでさまざまな表現が可能です。ここでは「色変更」「テクスチャ貼り付け」「アニメーション(UVスクロール)」の3つを例に、基本的なシェーダーの作り方を見ていきましょう。
① 色を変更するシェーダー
- Shader Graphウィンドウを開き、Blackboardで「+」ボタンをクリック。
- Color を選択して、新しいColorプロパティを作成します。
- Colorプロパティをグラフにドラッグし、Master Stackの
Base Colorに接続。 - 「Save Asset」で保存すると、マテリアルのInspectorから色を自由に変更できるようになります。
この方法なら、オブジェクトの色をマテリアルごとに変えられるシンプルなシェーダーが完成します。
② テクスチャを貼るシェーダー
- Blackboardで「Texture2D」プロパティを追加。
- 右クリックで Sample Texture 2D ノードを作成し、Texture2Dプロパティを接続します。
- Sample Texture 2Dの出力を、Master Stackの
Base Colorに接続。 - 保存後、マテリアルのInspectorで画像をドラッグ&ドロップすると、オブジェクトにテクスチャが反映されます。
③ アニメーションするシェーダー(UVスクロール)
- ノードを追加:Time、UV、Add。
- UVの出力とTimeの出力をAddノードにつなぎ、その結果をSample Texture 2DのUV入力へ接続。
- これでテクスチャが流れるようなアニメーションになります。
- 速度を調整したい場合は、Multiplyノードを追加し、数値を0.3などに設定してTimeノードに接続します。
- シーンビューで確認すると、テクスチャがスクロールして動いて見えるはずです。

こうした小さな工夫だけでも「水が流れる床」「魔法の光が回転するエフェクト」などを表現できます。
5. 応用編:Shader Graphで広がる表現
ここまでの内容をマスターすれば、色やテクスチャを変えるだけでなく、Shader Graphを使ってもっと高度な表現もできるようになります。ここでは、少し応用的な使い方を見ていきましょう。
① プロシージャル模様の生成
Shader Graphには「数学関数」を扱うノードが豊富に用意されています。たとえば、Sine(サイン波)やCosine(コサイン波)を使えば、波打つような動きやパターンを作成できます。 これをテクスチャ座標と組み合わせることで、模様を自動生成したり、背景のゆらぎを表現することも可能です。
② マスクを使った部分的な効果
シェーダーでは「特定の部分だけ効果を適用する」こともよくあります。 例えば「円形のマスク」を作成して、それを色ノードと掛け合わせれば「スポットライトが当たっている部分だけ明るくなる」といった表現ができます。 こうしたマスク処理は、UIやエフェクトの演出にとても役立ちます。
③ インタラクティブな表現
Shader Graphでは、シーンの情報やプレイヤーのアクションを取り込むことで「インタラクティブな表現」も可能です。 たとえば、プレイヤーの位置に応じて床が光る、カーソルに反応してオブジェクトが揺れる、といった演出もノードの組み合わせで実現できます。 ゲーム性に直結するビジュアル演出を追加できるので、演出の幅がぐっと広がります。
④ 環境効果と組み合わせる
Shader Graphで作ったシェーダーは、他のビジュアルエフェクトと組み合わせることで一層映えます。特におすすめなのが、ライトや霧の効果を追加して「空気感」を表現する方法です。 シーンに奥行きや雰囲気を与えることで、ゲーム全体のクオリティがワンランク上がります。
その際に役立つのが Aura 2 – Volumetric Lighting & Fog。 Shader Graphで作ったマテリアルに加えて、シーン全体にボリュームライトや霧を演出できるので「光が差し込む森」「幻想的な洞窟」などを簡単に再現できます。

このようにShader Graphをベースに、環境エフェクトやアセットを組み合わせることで、表現の可能性は無限に広がります。
6. Shader GraphとAmplify Shader Editorの違い
Shader GraphはUnity公式の無料ツールで、URPやHDRPを選択すればすぐに使える手軽さが魅力です。ノードの種類も豊富で、基本的なシェーダー表現ならこれだけで十分にカバーできます。 ですが、もっと細かくカスタマイズしたい人や、商用レベルで使える強力なツールを探している人には、有料アセットの選択肢もあります。
Amplify Shader Editorとは?
Amplify Shader Editor は、Unityユーザーの間でも評価が高いノードベースのシェーダー制作ツールです。 Shader Graphと似た操作感ですが、より多機能で拡張性があり、以下のような点で優れています。
- ノードの種類がさらに豊富で、複雑な表現にも対応
- Built-in Render Pipelineでも利用可能(Shader GraphはURP/HDRP限定)
- 直感的な操作に加えて、高度なシェーダー知識を持つユーザーが細部まで調整できる
どちらを選ぶべき?
最初の一歩は公式のShader Graphで十分です。基本操作やシェーダーの仕組みを理解するには、無料で始められるShader Graphがベストな選択肢でしょう。 そのうえで「さらに表現を追求したい」「ゲームの雰囲気をワンランク上げたい」と感じたら、Amplify Shader Editorにステップアップするのがおすすめです。

つまり、Shader Graphは入門編、Amplify Shader Editorは発展編として活用すると、学習も制作もスムーズに進みますよ。
7. まとめ
今回は、UnityのShader Graphを使ったシェーダー入門を解説しました。 色を変えるシンプルなものから、テクスチャの貼り付け、さらにアニメーションするシェーダーまで、ノードをつなぐだけで表現の幅が大きく広がるのを感じられたと思います。
Shader Graphは無料で使える公式ツールなので、初心者にとって学びやすく、デザイナーやプランナーでも扱いやすいのが魅力です。 そして、環境効果を追加できるAura 2や、水面表現を美しくしてくれるStylized Water 2といったアセットを組み合わせれば、さらにリッチな演出が可能になります。 もっと本格的に取り組みたい方には、Amplify Shader Editorもおすすめです。
シェーダー制作は「難しそう」と思われがちですが、Shader Graphを使えば、遊び感覚で挑戦できます。ぜひこの記事をきっかけに、自分のゲームに「オリジナルの魔法」をかけてみてくださいね♪
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よくある質問(FAQ)
- QShader GraphはBuilt-in Render Pipelineでも使えますか?
- A
いいえ、Shader GraphはURP(Universal Render Pipeline)とHDRP(High Definition Render Pipeline)専用の機能です。 Built-in Render Pipelineでは使用できないため、新しいプロジェクトを作る際はURPを選ぶのがおすすめです。
- Q作ったシェーダーはスマホでも動作しますか?
- A
はい、URPを使っていればスマートフォン向けビルドでも動作します。ただし、複雑なシェーダーは処理が重くなる可能性があるので、モバイル向けではノードをシンプルにするなど最適化を意識すると良いでしょう。
- QShader GraphとAmplify Shader Editorはどちらから始めるべき?
- A
最初は無料のShader Graphで十分です。操作方法やシェーダーの仕組みに慣れてから、より高度な表現をしたくなったら Amplify Shader Editor にステップアップすると、無理なくスキルアップできます。







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