1. はじめに|Unityでカメラ追従が必要な理由
Unityで3Dゲームやアクションゲームを作るとき、「プレイヤーをカメラがしっかり追いかけてくれたらいいのに…」と思ったことはありませんか?
カメラがキャラクターに追従しないと、プレイヤーが画面の外に出て見えなくなってしまい、ゲームとして成り立たなくなってしまいます。さらに、カメラの動き次第でゲームの見やすさや操作のしやすさも大きく変わるため、カメラ演出はゲーム体験の快適さに直結します。
でも、初心者にとっては「スクリプトを書いて、カメラを毎フレーム移動させる」なんてハードルが高く感じるかもしれません。
そんなときにおすすめなのが、**Unity公式の無料ツール「Cinemachine(シネマシーン)」**です!
Cinemachineを使えば、複雑なコードを書かなくても、キャラクターをなめらかに追いかけるカメラや、アクション映画のようなシーン切り替えを実現できます。しかも、設定はほぼGUIベースなので、Unity初心者でもマウス操作だけでプロっぽいカメラ演出ができますよ!
この記事では、Unity初心者の方に向けて、Cinemachineを使ってキャラクターに追従するカメラを作る方法をわかりやすく解説していきます。
2. Cinemachineとは?導入と基本操作
Cinemachineってなに?
Cinemachine(シネマシーン)は、Unityが公式に提供している高機能なカメラ制御ツールです。
これを使えば、映画のような滑らかなカメラ演出や、キャラクターに自動で追従するカメラをノーコードで実現できます。
「プレイヤーを追いかけるカメラを作りたいけど、毎フレーム計算するスクリプトは難しそう…」という人でも、CinemachineならGUIでポチポチ設定するだけでOK!
とくに3DアクションやTPS視点のゲームでは、Cinemachineがあると一気に開発がラクになります。
Cinemachineの導入手順(インストール)
まずはCinemachineをプロジェクトに追加しましょう!
✅ ステップ①:Package Managerを開く
Unityメニューから
「Window」→「Package Manager」をクリックします。
✅ ステップ②:Cinemachineを探してインストール
Package Managerの左上「Packages:」を「Unity Registry」に変更し、「Cinemachine」と検索します。
出てきたら「Install」をクリックして完了!

Cinemachineカメラの作成方法
Cinemachineをインストールすると、「Hierarchy(ヒエラルキー)ウィンドウ」で新しいカメラが作れるようになります。
✅ Virtual Camera(仮想カメラ)を作る方法
- ヒエラルキー上で右クリック
- 「Cinemachine」→「Create Virtual Camera」を選択
これで「Main Camera」と連携して動く**仮想カメラ(Virtual Camera)**が作成されます。
🎥 仮想カメラはあくまで「どの方向から何を映すか」の設定。実際の映像は Main Camera が担当します。

次のセクションでは、この仮想カメラを使って、キャラクターに追従するカメラを作っていきましょう!
3. キャラクターにカメラを追従させる方法
ここからは、Cinemachineを使ってキャラクターに自動で追従するカメラを設定していきます!
スクリプト不要で、マウス操作だけで設定できるので、初心者でも安心です!
ステップ①:Virtual Cameraを作成する
まずは、追従用のカメラを作りましょう。
- ヒエラルキー(Hierarchy)ウィンドウで右クリック
- 「Cinemachine」→「Create Virtual Camera」を選択
これで「CM vcam1」などの名前の**仮想カメラ(Virtual Camera)**が作成されます。
このカメラが、プレイヤーを自動で追いかけてくれるようになります。
ステップ②:FollowとLook Atにプレイヤーを指定する
Virtual Cameraを選択したら、**Inspector(インスペクター)**を見てください。
- 「Follow」にプレイヤー(例:ThirdPersonControllerなど)
- 「Look At」にも同じくプレイヤー

をそれぞれドラッグ&ドロップで指定します。
✅ これで、プレイヤーに追従して、常に見つめるカメラの準備が完了!
ステップ③:追従の動きをカスタマイズしよう
Virtual Cameraの下の設定で、動きの滑らかさや視点の位置を調整できます。
Body → Framing Transposer
- Damping(遅延)の値を上げると、カメラがスムーズに動きます
- Screen X/Yで画面上のプレイヤーの位置を微調整
Aim → POV(Point of View)
- マウスや右スティックでの視点操作ができるようになります
💡 おすすめ設定:プレイヤーの後方から少し上に配置
Framing Transposerの「Tracked Object Offset」のYに2〜3程度、Zに**-5〜-8程度入れると、
キャラクターを少し見下ろす感じの自然な三人称視点(TPS)**になります!

Unityの「▶」ボタンでゲームを再生してみましょう。
キャラクターにカメラがぴったりくっついて動くのが確認できるはずです。
4. より自然な動きにするテクニック
基本的なカメラ追従ができたら、さらにリアルでプレイしやすいカメラにしていきましょう!
このセクションでは「壁すり抜け防止」「自然な揺れ・遅れ表現」「カメラ切り替え」といった、ゲームをワンランク上げるテクニックをご紹介します!
🔹 Cinemachine Colliderで壁のすり抜けを防ぐ
プレイヤーが建物の裏に行ったとき、**カメラが壁の中にめり込んでしまう…**そんな悩みはありませんか?
この問題は、CinemachineにあるCollider(コライダー)拡張機能で簡単に防げます!
✅ 設定手順
- Virtual Cameraを選択
- 「Add Extension」をクリック
- 「Cinemachine Collider」を選ぶ
これで、カメラが壁にぶつかると自動で避けてくれるようになります!
💡 Tip:Wall Layerの設定で「壁」にだけ反応するようにすると、見えない床やUIに反応しなくなって便利!
🔹 視点のスムーズさを調整して“プロっぽく”!
Cinemachineでは、カメラの揺れ方や追従の遅れ具合も自由に設定できます。
Framing Transposer内の調整ポイント
- Damping(ダンピング):値を上げると“ふわっと”ついてくるような動きに
- Soft Zone:画面内でどの位置までならズレても許すか(自由度のある追従)
- Dead Zone:プレイヤーがこの範囲を出るまでカメラが動かないようにする
これらをうまく調整することで、スムーズで映画のようなカメラ体験を作れます!
🔹 FreeLook Cameraで回転も自由に!
プレイヤーの背後を常に追いかけるだけでなく、右スティックやマウスで自由にカメラ回転をしたい場合は「FreeLook Camera」を使いましょう。
作り方
- 「Hierarchy」ウィンドウで右クリック
- 「Cinemachine」→「FreeLook Camera」
Follow/Look At を設定すれば、右スティックで上下左右の視点操作が可能なTPS視点が実現します。
🔹 複数カメラの切り替えで演出強化!
イベントシーンやカットシーンで視点を変えたいときは、**Virtual Cameraを複数用意してBlend(ブレンド)**を使いましょう!
Blendの設定方法
- 複数のVirtual Cameraを作成
- 「CinemachineBrain」がアタッチされているMain Cameraに、自動で切り替えが適用されます
- Blendの時間やエフェクトは「Project Settings」→「Cinemachine」から調整可能

これで、ただ追従するだけじゃない、自然で見やすいプロ品質のカメラ制御ができるようになりました!
5. Cinemachineのカメラ切り替え応用
Cinemachineの魅力は、ただ「追いかける」だけじゃありません。
複数のカメラをスムーズに切り替えたり、シーン演出を作ったりできるのも大きなポイントです!
このセクションでは、イベントシーンやバトル前のカメラワークなどで使える「カメラ切り替え」の応用テクニックを紹介します。
🎬 複数のVirtual Cameraを使った自動切り替え
たとえば、ゲーム開始時だけ「ズームイン演出」→その後は「追従カメラ」に切り替える…
こんな演出も、複数のVirtual Cameraを作って切り替えるだけでOKです!
✅ 手順
- Virtual Cameraを複数作成(例:
CM_IntroCam
,CM_FollowCam
など) - それぞれにFollow/LookAt対象や構図を設定
- 優先度(Priority)を設定し、高い方が自動的に有効になる
🎥 「CM_IntroCam」のPriorityを一時的に高くし、数秒後に「CM_FollowCam」に切り替えればOK!
🕹 Timelineを使って演出にカメラを組み込む
Unityには**Timeline(タイムライン)**というアニメーション・演出ツールがあります。
Cinemachineはこれと相性バツグン!
TimelineにVirtual Cameraを登録することで、イベントシーンやカットイン演出も簡単に作れます。
使い方概要
- 「Timeline」ウィンドウを開く
- カメラの切り替え用Track(Cinemachine Track)を作成
- Virtual Cameraの切り替えタイミングを自由に設定
💡 こんな場面におすすめ!
- ゲーム開始時の演出(ズームや上空からの視点)
- イベントシーンで特定NPCやオブジェクトにフォーカス
- バトル前にキャラをクローズアップ
- ステージクリア時のズームアウト演出

これでCinemachineを使った高度な演出やシーン制御も自由自在にできるようになります!
6. まとめ|初心者でもCinemachineでプロの動きを
Unityでキャラクターをカメラに追従させるとき、以前はスクリプトでカメラ位置を調整する必要がありました。
でも今では、Cinemachineを使えば初心者でもプロっぽい動きが簡単に実現できます!
Cinemachineなら…
- プレイヤーを自動で追いかける
- スムーズで自然なカメラワーク
- 複数のカメラを切り替えて演出可能
- しかも無料で使える!
これだけの機能がスクリプトなしで扱えるのは本当に魅力的です。
これからゲームを作る方は、ぜひCinemachineを取り入れてみてください!
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よくある質問(FAQ)
- QCinemachineは無料で使えますか?
- A
はい、Unity公式が提供している無料のパッケージです。Package Managerから簡単にインストールできます。
- Qキャラクターが壁の裏に隠れて見えなくなります。どうしたらいいですか?
- A
Cinemachine Virtual Cameraに「Cinemachine Collider」を追加しましょう。カメラが自動で壁を避け、プレイヤーが見える位置に移動してくれます。
- QFollow対象のキャラが動かないときは?
- A
「Follow」「Look At」に正しいキャラクターをドラッグ&ドロップしていますか?
また、カメラの「Priority」が他のカメラより低い場合、映らないこともあるので確認してください。