時間をかけてコツコツ作り上げたUnityゲーム、いよいよ公開!というときに「全然遊んでもらえない」「ストアページを見てくれる人が少ない」と感じたことはありませんか。開発には自信があるのに、なぜか誰にも気づいてもらえない。そんなモヤモヤを抱えている方は、実はとても多いんです。
この記事では、Unityで作ったインディーゲームを多くの人に届けるために、リリース前の準備からSNS運用、イベント活用、契約時の注意点まで、順を追って整理していきます。「何から手をつければいいのかわからない」という状態から、一歩ずつ抜け出すきっかけにしていただければと思います。
なぜ良いゲームでも売れないのか?
ゲームの完成度が高くても売れない一番の理由は、単純に「存在を知られていない」からです。開発者としてはつい「面白ければ自然と広まるはず」と考えてしまいがちですが、実際のストア上では毎日大量の新作がリリースされており、埋もれてしまうケースは珍しくありません。プラットフォームによっては、1日に50本以上の新作が公開されているという指摘もあるほどです(時期や集計方法によって変動するため、あくまで目安として捉えてください)。
ここで押さえておきたいのが、SteamをはじめとするストアのAI(ディスカバリーアルゴリズム)の仕組みです。これは、ユーザーがどんな行動を取ったか(ウィッシュリストへの登録、体験版のプレイ時間など)をもとに、おすすめとして表示する頻度を自動で決める仕組みのことです。つまり、広告費をたくさんかければ露出が増えるという単純な話ではなく、ユーザーの実際の行動が積み重なることで露出が伸びていくという点が、多くのプラットフォームで共通しています。
この仕組みを知らないまま「とにかく公開してSNSで告知すれば大丈夫」と考えてしまうと、初動の行動データが少ないまま埋もれてしまうことがあります。逆に言えば、リリース前からユーザーの行動を意識して準備を進めておくことが、埋もれないための第一歩になります。

それでは、その具体的な準備方法を見ていきましょう。
リリース前に必須のストアページ最適化とは?
ゲームを公開する前に、まず整えておきたいのがストアページです。ここでの準備が甘いと、せっかく興味を持ってくれたユーザーにも「なんとなく惹かれない」と感じさせてしまい、そのまま離脱されてしまいます。以下の4つのポイントを順番に確認していきましょう。
ジャンル選定とタグ設定
まず大切なのが、そのプラットフォームのユーザー層に合ったジャンルを選ぶことです。たとえばホラーや建築シミュレーションのように、すでに固定ファンがいるジャンルは、初動の反応を得やすい傾向があります。ジャンル自体は開発初期からある程度決まっていることが多いですが、ストア上でどう見せるかは公開直前でも調整可能です。
特に重要なのがタグの設定です。タグは、ストアのアルゴリズムがどんなユーザーにゲームをおすすめするかを判断する材料になります。以下の点を意識して、漏れなく設定しておきましょう。
- ゲームのジャンルを表すタグ(例:ホラー、パズル、ローグライクなど)
- プレイスタイルを表すタグ(例:シングルプレイ、協力プレイなど)
- 世界観や雰囲気を表すタグ(例:ピクセルアート、ダークファンタジーなど)
「関係なさそうだから」と自己判断でタグを絞りすぎると、本来届くはずだったユーザーに表示されなくなってしまうことがあります。思い当たる要素は、できるだけ幅広く設定しておくのが安心です。
カプセル画像(サムネイル)の作り方
カプセル画像は、ユーザーが一覧画面で最初に目にする部分です。ここで「どんなゲームか」が一瞬で伝わらないと、クリックすらしてもらえません。たとえば建築ゲームであればハンマーや建材、ホラーゲームであれば不穏な雰囲気の一場面など、ゲームの核となる要素が瞬時に伝わるビジュアルを意識することが大切です。
自分で作るのが難しい場合は、プロのイラストレーターやデザイナーに依頼するのも一つの方法です。文字情報だけでは伝わらない「ゲームの空気感」を視覚的に伝えられるかどうかが、クリック率を左右します。
ローカライズ時の注意点
海外ユーザーへの展開を考えている場合、英語や簡体字中国語などのテキストを用意することになりますが、ここで機械翻訳をそのまま使うのは避けたいところです。文法的には正しくても、その言語圏で「思わずクリックしたくなる」表現になっていないことが多いためです。
ウィッシュリスト登録者への通知設定
ゲームがいよいよリリースされるタイミングでは、多くのプラットフォームに用意されている通知機能(いわゆるウィッシュリスト登録者へのメール通知)を必ず活用しましょう。ボタン一つで送信できる場合が多いにもかかわらず、公開作業に追われて押し忘れてしまうケースも見られます。忘れずに送信できているか、リリース作業のチェックリストに加えておくと安心です。
ここで一つ、誤解しやすいポイントがあります。ウィッシュリストの登録数が多いこと自体は喜ばしいことですが、登録数が多い=自動的に売上が伸びる、というわけではありません。ウィッシュリストはあくまで「予約に近い」ものであり、実際に購入へとつながるかどうかは、リリースのタイミングや通知の送り方によっても変わってきます。

登録者数という数字だけに一喜一憂せず、リリース直前・直後の動きまで見据えて準備を進めることが大切です。
新作発表(初報)はいつ・どう出すべき?
ストアページの準備が整ったら、次に考えたいのが「いつ、どうやって新作を発表するか」です。実はこのタイミングの取り方ひとつで、注目のされ方が大きく変わってきます。SNSでこっそり告知するだけで終わらせるのはもったいない、というのがこの項目でお伝えしたいポイントです。
まず意識したいのが、新作情報を早めに小出しにしないということです。「新しいゲームを作っています」という情報自体が、実はニュースとしての価値を持っています。SNSで断片的に公開してしまうと、その価値を自分で消費してしまうことになりかねません。情報をある程度まとめて保持しておき、まとまった形で世に出すタイミングを狙うほうが、注目を集めやすくなります。
そのタイミングとして活用したいのが、インディーゲーム向けのオンラインショーケースです。以下のような手順で進めていくとスムーズです。
- 自分のゲームのジャンルや世界観に合ったオンラインショーケースを探す(例:INDIE Live Expo、Wholesome Directなど)
- ショーケースの応募要項を確認し、必要な素材(トレーラー動画やスクリーンショットなど)を準備する
- 応募期限までにエントリーし、選考結果を待つ
- 採用された場合は、そのショーケース内で新作情報を世界初公開する
ショーケースは応募先によって審査基準やターゲット層が異なるため、自分のゲームの雰囲気に近いイベントを選ぶことが、採用率や反応の良さにつながります。事前に過去の出展作品を眺めて、傾向を確認しておくのもおすすめです。
ワンポイント
「発表はSNSだけで十分」と考えてしまうと、こうした注目を集めやすい機会を逃してしまうことになります。

開発の手が止まらない範囲で構わないので、応募できそうなショーケースがないか、早めにリサーチを始めておくと安心です。
SNS・コミュニティでファンを増やすには?
新作の発表と並行して育てていきたいのが、日々の発信を通じたファンとのつながりです。SNSやコミュニティは「宣伝の場」と捉えられがちですが、実はそれだけでは逆効果になることもあります。ここでは、プラットフォームごとの使い分け方を見ていきましょう。
Reddit・Imgurでの発信スタンス
RedditやImgurのようなコミュニティ型のサービスでは、あからさまな宣伝文句は敬遠されやすい傾向があります。「新作リリース!ぜひプレイしてください!」といった投稿よりも、開発の裏側や面白いギミックの紹介など、見た人が思わず反応したくなるコンテンツのほうが受け入れられやすいです。
たとえば「このバグ、逆に面白かったので機能にしました」といった開発エピソードや、ちょっとした小ネタを含む動画は、宣伝目的だと感じさせずに興味を持ってもらいやすい投稿と言えます。売り込む姿勢よりも、共有する姿勢を意識するのがポイントです。
TikTokを通じた動画PR
TikTokは短い動画で世界観やゲームプレイの魅力を伝えやすいプラットフォームです。自分で動画を作るだけでなく、ゲーム実況者やクリエイターに実際にプレイしてもらい、その様子を切り抜き動画として投稿してもらう方法も効果的です。動画映えするシーン(派手な演出や意外性のある展開など)があると、拡散されやすくなります。
また、TikTok For Businessが提供している「ゲーム事前登録」機能を使うと、ユーザーはビジネスアカウントをフォローするだけで事前登録が完了し、リリース時に通知を受け取れるようになります。設定の詳細な手順は個別に確認が必要な部分もありますが、フォローという手軽なアクションで登録につなげられる点は、ハードルの低い集客手段として覚えておくとよいでしょう。
Discordサーバーの構築
継続的にファンとつながる場として欠かせないのが、Discordサーバーです。ただ「作りました」で終わらせず、以下のようにチャンネルの役割を分けておくと、コミュニティが機能しやすくなります。
- 開発者同士が情報交換できるチャンネル(技術的な相談や進捗共有など)
- ファン向けに開発の進捗を共有するチャンネル(スクリーンショットや制作の裏話など)
- 雑談やファン同士の交流ができるチャンネル
権限設定をしっかり分けておかないと、開発者向けの情報がファンにそのまま見えてしまったり、逆にファンの声が開発者に届きにくくなったりします。目的別にチャンネルを整理しておくことが、居心地の良いコミュニティ作りにつながります。
クローズドコミュニティの運用
支援金や会費を募り、限定コンテンツを配信するような運用を考えている場合は、pixiv FANBOXやci-enといった会員制サービスの活用も選択肢に入ります。支援者限定の進捗共有や、リターンの管理がしやすくなる点がメリットです。すべての開発者に必要というわけではありませんが、コアなファンとの関係を深めたい場合には検討する価値があります。
Steam Next Festなどのイベントはどう活用すべき?
SNSやコミュニティでの発信と並行して、参加を検討したいのがSteam Next Festのようなオンラインイベントです。「体験版がまだ完成していないから」と参加を見送ってしまう方もいますが、実は参加するかどうかの判断は、準備のタイミング次第で変わってきます。
まず押さえておきたいのが、体験版の公開はイベント開始と同時にするものではないという点です。イベント直前に慌てて体験版を初公開してしまうと、バグや操作性の問題に気づけないまま、多くのユーザーの目に触れることになってしまいます。理想としては、イベントの数ヶ月前から体験版を公開し、実際にプレイしたユーザーからのフィードバックを受けて、事前に不具合を修正しておくことです。
参加するかどうかを判断する際は、以下のポイントを目安にしてみてください。
- 体験版が、外部のユーザーにプレイしてもらえる状態まで仕上がっているか
- イベント開始までに、フィードバックをもとにした修正の時間を確保できるか
- イベント前から、ある程度のウィッシュリストを外部プロモーションで集められそうか
この3つのうち、特に見落とされがちなのが3つ目です。イベントに参加すれば自動的に注目が集まると考えてしまいがちですが、実際にはイベント前からすでに勢いがあるゲームほど、イベント中も露出が伸びやすい傾向があります。何も準備をしないままイベント当日を迎えるよりも、SNSでの告知や新作発表を通じて、ある程度の注目を事前に集めておくことが望ましいです。
ワンポイント
体験版がまだ荒削りな段階であれば、無理に今回のイベントに合わせる必要はありません。

次回以降のイベントに照準を合わせて、まずは体験版の完成度を高めることを優先するのも、一つの判断として十分にありです。
資金調達・収益化はどう組み合わせる?
販促と並行して考えておきたいのが、資金面の工夫や収益の仕組みです。すべてのタイトルに必要というわけではありませんが、開発費に余裕がない場合や、より長く応援してもらえる関係を作りたい場合には、検討する価値があります。
まず選択肢として挙げられるのが、KickstarterやCAMPFIREといったクラウドファンディングの活用です。「資金を集める手段」というイメージが強いかもしれませんが、実はそれだけではありません。開発の過程そのものを支援者と共有しながら進めていくことで、完成を待つファンではなく、一緒に作品を育てていく仲間のような関係を築けるという側面もあります。これは、開発途中の情報を積極的に発信していく「プロセスエコノミー」と呼ばれる考え方に近いものです。
「クラウドファンディング=単なる資金調達」と捉えてしまうと、リターン設計や資金目標の達成だけに意識が向きがちです。ですが、支援者とのやり取りを通じてファンを育てるという視点を持っておくと、資金調達後の関係づくりにも良い影響が出てきます。
過去にリリースしたタイトルがある場合は、そのストアページに新作へのリンクを設置するクロス・プロモーションも有効です。すでに自分のゲームを遊んでくれたユーザーは、新作にも興味を持ってくれる可能性が高い層のため、追加のコストをかけずに新作の認知を広げられます。
スマートフォン向けのカジュアルゲームなどを開発している場合は、動画広告プラットフォームを導入して収益化する方法もあります。広告フォーマットの選び方やゲームジャンルごとの相性など、実装面での具体的な工夫については、以下の記事で詳しく解説しています。
広告や課金を使った収益化の具体的な進め方はこちらをご覧ください。
パブリッシャー契約で注意すべき点は?
販促を進めていく中で、パブリッシャーから声がかかることもあるかもしれません。資金面やマーケティング面でのサポートを受けられるのは心強い一方で、契約内容をよく理解しないまま進めてしまうと、後々の不安につながることもあります。ここでは、最低限押さえておきたいポイントを整理します。
まず知っておきたいのが、提示される契約書はパブリッシャー側の意向が反映されたひな形であるという点です。最初から自分にとって公平な内容になっているとは限らないため、内容をそのまま受け入れるのではなく、一つひとつ目を通して確認する姿勢が大切です。自分の意向と異なる部分があれば、遠慮せずに修正を求めてよい場面もあります。
もう一つ見落としやすいのが、口頭での説明と契約書の記載が異なる場合、法的には契約書の記載が優先されるという点です。「担当者がそう言っていたから大丈夫」と思っていても、それが書面に反映されていなければ、後から証明することが難しくなってしまいます。
パブリッシング契約は専門的な条項が多く、その場で内容を完全に理解して判断するのは簡単ではありません。少しでも不明な点や引っかかる部分があれば、その場で安易に返事をせず、必要に応じて弁護士など専門家に相談してから締結するようにしましょう。

焦って進めるよりも、納得したうえで契約するほうが、結果的に長く良い関係を築けます。
よくある質問
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Qすでにリリース済みのゲームでも、今から販促を始めて効果はありますか?
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A効果が見込めます。リリース直後の勢いは重要ですが、その後のSNS発信やコミュニティ運営、アップデート情報の発信なども、継続的な露出につながります。特に大型アップデートや新要素の追加は、新作発表に近い形で改めて注目を集めるきっかけになります。今からでも、これまで取り組めていなかった施策から少しずつ着手してみることをおすすめします。
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Qウィッシュリストは何件集まれば十分と言えますか?
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A明確な基準はなく、ジャンルや価格帯、開発規模によって目安は大きく変わります。件数そのものよりも、リリース時にどれだけの登録者が実際の購入行動に結びつくかという転換率のほうが重要です。件数を追い求めることよりも、登録してくれたユーザーが興味を持ち続けられるよう、定期的な情報発信を続けることを意識してみてください。
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QSNSはどのプラットフォームから始めるのがよいですか?
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Aゲームの雰囲気やターゲット層によって適したプラットフォームは異なりますが、動画映えする要素があるならTikTok、開発者コミュニティとのつながりを重視するならRedditから始めるなど、ゲームの特性に合わせて選ぶのが現実的です。すべてを同時に運用しようとすると手が回らなくなりやすいため、まずは1つに絞って継続的に発信し、余力が出てきたら他のプラットフォームにも広げていく進め方がおすすめです。








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