UnityUnityメモ

Unityのオブジェクト指向設計!継承・ポリモーフィズム・インターフェースを徹底解説

Unity

1.はじめに

Unityでゲームを作るとき、スクリプトをたくさん書くことになりますよね。でも、コードの量が増えるにつれて「どこに何が書いてあるのか分からなくなった…」「似たような処理を何回も書いてるけど、もっと効率よくできないかな?」と感じることはありませんか?

そんなときに役立つのが**オブジェクト指向プログラミング(OOP: Object-Oriented Programming)**です!

オブジェクト指向を活用すると、以下のようなメリットがあります。
コードの再利用ができる(同じ処理を何度も書かなくてOK!)
修正や追加がしやすくなる(一部を変更しても、全体に影響が出にくい!)
管理がしやすくなる(キャラクターやアイテムの動作をスッキリ整理できる!)

この記事では、オブジェクト指向の**「継承」「ポリモーフィズム」「インターフェース」**の3つに注目し、UnityのC#スクリプトでどのように活用できるかを詳しく解説します。

具体的には…
🔹 継承(Inheritance):親クラスの機能を子クラスが引き継ぐ方法
🔹 ポリモーフィズム(Polymorphism):同じメソッド名でも異なる動作をさせる仕組み
🔹 インターフェース(Interface):異なるクラスに共通の機能を持たせる方法

実際のコード例を使いながら解説するので、初心者の方でも理解しやすい内容になっています!

それでは、オブジェクト指向の基礎から学んでいきましょう! 🚀




2. オブジェクト指向設計とは?

Unityでゲームを作るとき、スクリプトを書くのに欠かせないのがオブジェクト指向プログラミング(OOP: Object-Oriented Programming)です。
オブジェクト指向設計を理解すると、コードを整理しやすくなり、再利用しやすくなり、バグを減らす
ことができます。

オブジェクト指向の基本的な考え方は、「現実世界のものごとをプログラムに落とし込む」ということです。
たとえば、「プレイヤー」「敵」「アイテム」といったゲーム内の要素を、それぞれのオブジェクト(クラス)として設計できます。


オブジェクト指向の4つの基本原則

オブジェクト指向の設計には、以下の4つの基本原則があります。

① カプセル化(Encapsulation)

  • データ(変数)と処理(メソッド)を1つのオブジェクトにまとめる
  • 外部からのアクセスを制限して、安全に管理する

例:

public class Player
{
private int health = 100; // 外部から直接変更できない

public void TakeDamage(int damage)
{
health -= damage;
Debug.Log("プレイヤーが " + damage + " ダメージを受けた!");
}
}

health 変数は private にすることで、外部から直接変更できないようにしています。
代わりに、TakeDamage() メソッドを使って、適切に体力を減らせるようになっています。


② 継承(Inheritance)

  • 親クラス(基礎クラス)の機能を子クラス(派生クラス)が受け継ぐ
  • 共通する機能を親クラスにまとめることで、コードを効率よく管理できる

例:

public class Enemy
{
public int health = 100;

public void TakeDamage(int damage)
{
health -= damage;
Debug.Log("敵が " + damage + " ダメージを受けた!");
}
}

public class Goblin : Enemy
{
public void Attack()
{
Debug.Log("ゴブリンが攻撃した!");
}
}

Goblin クラスは Enemy クラスを継承しているので、EnemyのhealthTakeDamage() をそのまま利用できるようになります。
このように継承を使うと、共通する機能を1か所にまとめられるため、同じようなコードを何度も書かなくて済みます。




③ ポリモーフィズム(Polymorphism)

  • 異なるオブジェクトでも、共通のメソッドを使って動作させることができる
  • **「同じ命令で、異なる動きをする」**のがポイント

例:

public class Dragon : Enemy
{
public void BreatheFire()
{
Debug.Log("ドラゴンが炎を吐いた!");
}
}

これを活用すると、異なる敵キャラを同じように扱いながら、それぞれ異なる挙動をさせることが可能です。

Enemy enemy1 = new Goblin();
Enemy enemy2 = new Dragon();

enemy1.TakeDamage(10);
enemy2.TakeDamage(20);

どちらも Enemy 型として扱えるので、敵を一括管理しつつ、それぞれ異なる攻撃方法を実装できるのがポイントです。


④ インターフェース(Interface)

  • 異なるクラスに共通の動作を定義するための仕組み
  • 継承とは異なり、クラスの種類が違っても共通の機能を持たせることができる

例:

public interface IDamageable
{
void TakeDamage(int damage);
}

public class Player : IDamageable
{
public int health = 100;

public void TakeDamage(int damage)
{
health -= damage;
Debug.Log("プレイヤーが " + damage + " ダメージを受けた!");
}
}

public class BossEnemy : IDamageable
{
public int health = 300;

public void TakeDamage(int damage)
{
health -= damage / 2; // ボスはダメージを半減
Debug.Log("ボスが " + (damage / 2) + " ダメージを受けた!");
}
}

IDamageable を実装すれば、**「ダメージを受けるオブジェクト」**として共通の動作を定義できます。
異なるオブジェクト(プレイヤー・敵)でも、同じTakeDamage() メソッドで処理できるようになるのがポイントです。


まとめ

  • オブジェクト指向設計は、ゲーム開発を効率化するために重要な考え方!
  • カプセル化:データを安全に管理し、適切に操作できるようにする
  • 継承:共通する機能を親クラスにまとめて、コードをスッキリ整理する
  • ポリモーフィズム:異なるオブジェクトを同じように扱いながら、違う動きをさせる
  • インターフェース:異なるクラスに共通の動作を持たせて、一貫性のある設計をする

これらを活用すれば、Unityのコードをもっとスッキリと書けるようになり、メンテナンスしやすく、拡張しやすいプログラムが作れます!




3. Unityでの継承の使い方

UnityのC#では、「継承」を活用することで、共通の処理を親クラスにまとめ、子クラスで拡張やカスタマイズを行うことができます。これにより、コードの重複を減らし、管理しやすいスクリプト設計が可能になります。


継承とは?

「継承(Inheritance)」とは、既存のクラス(親クラス)を基に、新しいクラス(子クラス)を作成する仕組みです。

例えば、ゲーム内の敵キャラクター(Enemy)には、共通のプロパティ(例:体力、攻撃メソッド)があります。しかし、敵の種類によって攻撃方法が異なることもあります。こうした場合、親クラスに基本的な動作を定義し、子クラスで個別の動作を追加すれば、スクリプトを効率的に管理できます。


基本的な継承の実装

ここでは、敵キャラクターを例にして継承の使い方を見ていきます。

1. 親クラス(Enemy)を作成する

まずは、すべての敵キャラクターに共通する動作を持つ**親クラス(Enemy)**を作成します。

Enemy.cs
using UnityEngine;

public class Enemy : MonoBehaviour
{
public int health = 100;

public virtual void Attack()
{
Debug.Log("敵が攻撃した!");
}
}

ポイント

  • health という体力を持つ変数を定義。
  • Attack() メソッドは敵の攻撃動作を表す。
  • virtual を使うことで、このメソッドが子クラスで上書きできるようになる。

2. 子クラス(Goblin)を作成する

次に、この Enemy クラスを継承する Goblin クラスを作成し、攻撃方法をカスタマイズします。

Goblin.cs
using UnityEngine;

public class Goblin : Enemy
{
public override void Attack()
{
Debug.Log("ゴブリンが短剣で攻撃した!");
}
}

ポイント

  • EnemyGoblin で継承(: Enemy)。
  • override を使って Attack() メソッドを独自の攻撃方法に変更

3. 子クラス(Dragon)を作成する

別の敵として「ドラゴン」を追加してみましょう。

Dragon.cs
using UnityEngine;

public class Dragon : Enemy
{
public override void Attack()
{
Debug.Log("ドラゴンが炎を吐いた!");
}
}



継承を活用した実装例

作成した GoblinDragonゲームオブジェクトにアタッチし、それぞれの Attack() メソッドを呼び出すスクリプトを作成してみます。

GameManager.cs

csharpコピーする編集するusing UnityEngine;

public class GameManager : MonoBehaviour
{
    void Start()
    {
        Enemy goblin = new Goblin();
        Enemy dragon = new Dragon();

        goblin.Attack(); // 「ゴブリンが短剣で攻撃した!」と表示
        dragon.Attack(); // 「ドラゴンが炎を吐いた!」と表示
    }
}

ポイント

  • Enemy 型の変数 goblinGoblin を代入、dragonDragon を代入。
  • どちらも Enemy 型として扱えるが、実際にはそれぞれのクラスの Attack() が呼ばれる
  • これが**ポリモーフィズム(多態性)**の基本的な動作。

継承のメリット

継承を使うことで、次のようなメリットがあります。

  1. コードの再利用
    • Enemy クラスを基に新しい敵キャラを作成でき、共通の機能を使い回せる。
  2. メンテナンスが楽になる
    • 例えば Enemy クラスに Move() メソッドを追加すれば、すべての敵キャラが移動機能を持つようになる。
  3. 拡張しやすい
    • GoblinDragon 以外の新しい敵も、簡単に追加できる。

継承の注意点

継承は便利ですが、使いすぎると以下のような問題が発生することがあります。

  1. 階層が深くなりすぎると、管理が複雑になる
    • 例えば Goblin を継承した GoblinKing など、何階層も継承すると修正が大変になる。
    • 解決策:コンポジション(部品化)を活用する(例:攻撃ロジックを別クラスに分ける)。
  2. 不要な機能を継承してしまう
    • すべての EnemyAttack() が必要とは限らない(例:逃げるだけの敵)。
    • 解決策:インターフェースを使って「必要な機能だけを実装する」設計にする(詳しくは後述)。

まとめ

  • 継承を使うことで、共通の機能を親クラスにまとめ、子クラスで拡張できる。
  • virtualoverride を活用すれば、子クラスごとに異なる動作を定義できる。
  • ポリモーフィズムを使うと、Enemy 型の変数で異なる敵を一括管理できる。
  • ただし、継承の乱用は避け、コンポジションやインターフェースも併用すると良い

このように、継承はUnityのスクリプトを整理し、ゲーム開発をスムーズにする重要な技術です。次のステップでは、ポリモーフィズムをより深く理解し、実践的に活用する方法を解説していきます!




4. ポリモーフィズムを活用する

ポリモーフィズム(多態性)は、同じメソッド名を持つ異なるクラスが、それぞれ独自の振る舞いをすることを指します。UnityのC#では、ポリモーフィズムを使うことで、共通の親クラスを持つオブジェクトが、それぞれ異なる処理を実行できるようになります

たとえば、ゲーム内で「敵キャラクター」を作るときに、ゴブリン・ドラゴン・ゾンビなど、異なる敵がそれぞれ違う攻撃をすることを想像してください。このような場合にポリモーフィズムを活用すると、シンプルなコードで管理できます。


ポリモーフィズムの基本的な仕組み

ポリモーフィズムを実現するためには、以下の3つの要素が重要です。

  1. 親クラス(基底クラス):共通の動作を定義するクラス
  2. 子クラス(派生クラス):親クラスを継承し、それぞれ独自の処理を実装
  3. オーバーライド(override):親クラスのメソッドを子クラスで上書き

実際にコードを書いてみよう

ここでは、Enemy(敵)という親クラスを作り、それを継承したGoblin(ゴブリン)とDragon(ドラゴン)を作成します。

① 親クラス(Enemy)を作る

まず、敵の基本クラスを作ります。

using UnityEngine;

public class Enemy : MonoBehaviour
{
public int health = 100;

// 仮の攻撃メソッド
public virtual void Attack()
{
Debug.Log("敵が攻撃した!");
}
}

このEnemyクラスは、すべての敵キャラが共通で持つ**攻撃(Attack)**のメソッドを定義しています。ただし、virtualキーワードをつけることで、子クラスで上書きできるようにしています。


② 子クラス(Goblin)を作る

次に、Enemyを継承して、Goblinクラスを作ります。

public class Goblin : Enemy
{
public override void Attack()
{
Debug.Log("ゴブリンが素早い攻撃をした!");
}
}

ここでは、親クラスのAttack()overrideして、ゴブリン独自の攻撃アクションに変更しました。


③ 別の子クラス(Dragon)を作る

ドラゴンは炎を吐く攻撃をするようにしましょう。

public class Dragon : Enemy
{
public override void Attack()
{
Debug.Log("ドラゴンが炎を吐いた!");
}
}

このように、それぞれの敵キャラが独自の攻撃を実装できます。




ポリモーフィズムを実際に使ってみる

上記のクラスを作ったら、次にゲームオブジェクトに適用して、動作を確認してみましょう。

④ シーンに敵を配置する

  1. ヒエラルキー(Hierarchy)ウィンドウを右クリックして、「Create Empty」を選びます。
  2. 作成したオブジェクトの名前をEnemyManagerに変更します。
  3. EnemyManagerに以下のスクリプトをアタッチします。

⑤ 敵を管理するスクリプトを作成

プロジェクトウィンドウを右クリック「Create」→「C# Script」を選んで、新しいスクリプトを作成し、「EnemyManager」と名前を付けます。

以下のスクリプトを入力してください。

using UnityEngine;

public class EnemyManager : MonoBehaviour
{
void Start()
{
// 親クラスの型を使って、それぞれの敵を作成
Enemy enemy1 = new Goblin();
Enemy enemy2 = new Dragon();

// ポリモーフィズムの働きで、それぞれ異なるAttack()が実行される
enemy1.Attack(); // ゴブリンが素早い攻撃をした!
enemy2.Attack(); // ドラゴンが炎を吐いた!
}
}

このように、親クラス(Enemy)の型で子クラスのオブジェクトを扱うことで、異なる挙動を簡単に実装できます


ポリモーフィズムのメリット

ポリモーフィズムを使うことで、以下のようなメリットがあります。

共通の処理を親クラスにまとめられる
➡ たとえば、すべての敵がhealth(体力)を持つ場合、それを親クラスにまとめることで、コードの重複を減らせる。

新しい敵を簡単に追加できる
Enemyを継承した新しい敵クラスを作るだけで、攻撃の処理を追加可能。

一括管理がしやすい
➡ 親クラスの型(Enemy)でオブジェクトを管理できるので、コードの変更が少なくて済む。


まとめ

  • ポリモーフィズムを使うと、異なるクラスを共通の親クラスで扱いつつ、それぞれ異なる処理を実装できる。
  • virtualoverrideを使うことで、親クラスのメソッドを子クラスで独自に変更可能。
  • 新しいキャラクターを追加するときにも、継承を利用するとコードを整理しやすくなる!

ポリモーフィズムを活用すると、コードがシンプルで管理しやすくなり、拡張も容易になります。Unityのゲーム開発では特に、敵キャラやアイテムの動作をまとめるときに役立ちます。ぜひ、実際に試してみてください!




5. インターフェースを活用する

インターフェースとは?

インターフェースは、クラスが実装すべきメソッドを定義する仕組みのことだよ。
普通の継承とは違って、インターフェースは具体的な処理を持たず、”このメソッドを実装してください” というルールを決める役割を持っているんだ。

例えば、ゲーム内のプレイヤーや敵キャラクターがダメージを受ける処理を統一したい場合、インターフェースを使うと便利!
どのキャラクターでも「ダメージを受ける」という共通のメソッドを持たせることができるんだ。


インターフェースの基本構造

インターフェースは、クラスとは違いinterfaceというキーワードを使って作成するよ。
以下のように、IDamageable という名前のインターフェースを作ってみよう。

public interface IDamageable
{
void TakeDamage(int damage); // ダメージを受けるメソッドを定義
}

このインターフェースを使うことで、”ダメージを受ける機能を持つ”クラスを簡単に作れるよ。


プレイヤーと敵にインターフェースを実装する

このインターフェースを使って、プレイヤーと敵のスクリプトを作ってみよう。

プレイヤークラス

public class Player : MonoBehaviour, IDamageable
{
public int health = 100;

public void TakeDamage(int damage)
{
health -= damage;
Debug.Log("プレイヤーが " + damage + " ダメージを受けた! 残りHP: " + health);
}
}

敵クラス

public class Enemy : MonoBehaviour, IDamageable
{
public int health = 50;

public void TakeDamage(int damage)
{
health -= damage;
Debug.Log("敵が " + damage + " ダメージを受けた! 残りHP: " + health);
}
}

このように、プレイヤーも敵も「IDamageable」インターフェースを実装することで、共通のTakeDamage()メソッドを持つことができるんだ。




インターフェースを活用するメリット

異なるクラスで共通の動作を定義できる
複数のクラスに適用できるので、コードの重複を減らせる
スクリプトの拡張がしやすくなる

例えば、もし新しいキャラクター「ボス」を追加したくなったら、IDamageable を実装するだけでOK!

public class Boss : MonoBehaviour, IDamageable
{
public int health = 200;

public void TakeDamage(int damage)
{
health -= damage;
Debug.Log("ボスが " + damage + " ダメージを受けた! 残りHP: " + health);
}
}

こうすることで、ゲーム内のどのキャラクターでも共通のダメージ処理を適用できるんだ!


インターフェースの実行例

以下のように、リストにプレイヤーや敵をまとめて処理できるのも大きなメリット!

void ApplyDamageToAll(IDamageable[] targets, int damage)
{
foreach (var target in targets)
{
target.TakeDamage(damage);
}
}

例えば、プレイヤーと敵をまとめてダメージ処理をする場合:

void Start()
{
IDamageable[] characters = { new Player(), new Enemy(), new Boss() };
ApplyDamageToAll(characters, 20);
}

これを実行すると、プレイヤー・敵・ボスがすべて同じダメージ処理を実行できるようになる!


まとめ

インターフェースを使うことで、異なるクラスでも共通の動作を定義できるようになる。
特にゲーム開発では、プレイヤー・敵・ボスなどのキャラクターに共通の機能を持たせるのに役立つよ!

  • interface を使うことで、「このメソッドを必ず実装しなければならない」ルールを作れる
  • プレイヤーや敵が共通の TakeDamage() を持つことで、スクリプトが統一されて管理しやすくなる
  • インターフェースを活用すれば、将来的にキャラクターを追加してもコードの変更が少なくて済む

これで、Unityでのインターフェースの使い方はバッチリ!🎮
次のステップでは、実際のUnityプロジェクトで試してみよう!




6. 実際にUnityでオブジェクト指向を活用する方法

ここまで、継承・ポリモーフィズム・インターフェースの基本について解説してきたけど、「実際にUnityのゲーム開発でどう使えばいいの?」って思うよね。
そこで、このステップでは、実際にオブジェクト指向設計を活用した敵管理システムを作ってみよう!


① シンプルな敵管理システムを作る

ゲームにはいろんな種類の敵キャラが登場するよね。たとえば、ゴブリン・ドラゴン・ゾンビみたいな敵を用意したいとする。
でも、それぞれを個別にスクリプトを書くのは面倒だし、共通の処理を使いまわせるようにしたいよね?
そこで、継承ポリモーフィズムを使って、敵の基本クラスを作り、それを継承する形で異なる敵を実装してみよう!


② 基本となるEnemyクラスを作成

まずは、敵の共通処理をまとめたEnemyクラスを作成するよ。

  1. プロジェクトウィンドウを右クリック
  2. **「Create」→「C# Script」**を選んで、新しいスクリプトを作成
  3. スクリプト名を「Enemy」に変更して開こう

以下のコードを入力してね。

using UnityEngine;

public class Enemy : MonoBehaviour
{
public int health = 100;

public virtual void Attack()
{
Debug.Log("敵が攻撃した!");
}

public void TakeDamage(int damage)
{
health -= damage;
Debug.Log("敵が " + damage + " ダメージを受けた! 残りHP: " + health);

if (health <= 0)
{
Die();
}
}

private void Die()
{
Debug.Log("敵が倒れた!");
Destroy(gameObject);
}
}

このEnemyクラスは、すべての敵が共通で持つ機能を定義しているよ。

  • **health(体力)**を持たせる
  • **Attack()(攻撃メソッド)**を用意(あとで各敵ごとにカスタマイズできるようvirtualをつけている)
  • **TakeDamage(int damage)(ダメージ処理)**を追加
  • **Die()(HPが0になったら倒れる)**を定義

③ 具体的な敵クラスを作る(継承を活用)

次に、このEnemyクラスを継承して、具体的な敵を作っていこう。
たとえば、ゴブリンとドラゴンを作成するよ。

ゴブリン(Goblin)クラス

  1. プロジェクトウィンドウを右クリック
  2. **「Create」→「C# Script」**を選んで、新しいスクリプトを作成
  3. スクリプト名を「Goblin」に変更して開こう

以下のコードを入力。

using UnityEngine;

public class Goblin : Enemy
{
public override void Attack()
{
Debug.Log("ゴブリンが短剣で攻撃した!");
}
}

Enemyクラスを継承しているので、healthTakeDamage()はそのまま使えるよ。
Attack()を上書き(オーバーライド)することで、ゴブリン固有の攻撃方法を定義できる!


ドラゴン(Dragon)クラス

  1. 同じ手順で「Dragon」スクリプトを作成
  2. 以下のコードを入力
using UnityEngine;

public class Dragon : Enemy
{
public override void Attack()
{
Debug.Log("ドラゴンが炎を吐いた!");
}
}

ゴブリンと同じように、Attack()をカスタマイズしたよ。




④ ゲームオブジェクトにスクリプトをアタッチ

次に、実際にこのスクリプトをゲームオブジェクトに適用してみよう。

  1. ヒエラルキー(Hierarchy)ウィンドウを右クリック
  2. **「3D Object」→「Cube」**を選んで、ゴブリン用のオブジェクトを作成
  3. オブジェクトの名前を「Goblin」に変更
  4. 作成した「Goblin」オブジェクトに「Goblinスクリプト」をドラッグ&ドロップしてアタッチ
  5. 同じ手順で「Dragon」オブジェクトを作り、「Dragonスクリプト」をアタッチ

これで、ゲーム内に敵オブジェクトを配置できたよ!


⑤ ポリモーフィズムで敵を一括管理

最後に、ポリモーフィズムを活用して、すべての敵をリストで管理してみよう。

  1. 「EnemyManager」スクリプトを作成
  2. 以下のコードを入力
using UnityEngine;

public class EnemyManager : MonoBehaviour
{
public Enemy[] enemies;

void Start()
{
foreach (Enemy enemy in enemies)
{
enemy.Attack();
}
}
}
  1. 空のゲームオブジェクトを作成(名前は「EnemyManager」)
  2. 「EnemyManagerスクリプト」をアタッチ
  3. Inspectorの「Enemies」リストに「Goblin」と「Dragon」オブジェクトをドラッグ&ドロップ

動作確認!

ゲームを実行すると、登録した敵オブジェクトが順番にAttack()を呼び出すよ!

  • ゴブリン → 「ゴブリンが短剣で攻撃した!」
  • ドラゴン → 「ドラゴンが炎を吐いた!」

すべての敵を「Enemy」として扱えるから、新しい敵を追加するときも簡単!


まとめ

このステップでは、継承・ポリモーフィズムを活用して、シンプルな敵管理システムを作ったよ。

継承で共通の敵クラス(Enemy)を作り、派生クラス(Goblin, Dragon)でカスタマイズ
ポリモーフィズムを使って、すべての敵を「Enemy」型で統一管理
拡張性が高く、再利用しやすい設計になった!

この仕組みを使えば、新しい敵を追加するときも新しいクラスを作ってEnemyを継承するだけ!もっと複雑なゲームを作るときにも、オブジェクト指向設計を活かして効率的に開発していこう!




7. まとめ

ここまで、Unityのオブジェクト指向設計について学んできました。継承・ポリモーフィズム・インターフェースを活用することで、より効率的で管理しやすいスクリプトを書くことができます。

  • 継承(Inheritance)
    親クラスの機能を引き継ぎつつ、子クラスごとに固有の動作を追加できる。たとえば、すべての敵キャラを共通の「Enemy」クラスから継承し、それぞれ異なる攻撃方法を実装することで、コードの再利用性を高めることができる。
  • ポリモーフィズム(Polymorphism)
    同じ「Attack()」メソッドを持つ複数の敵キャラが、それぞれ異なる攻撃方法を実装できる。これにより、敵キャラを一括管理しながら、それぞれ異なる動作をさせることが可能になる。
  • インターフェース(Interface)
    異なるクラス間で共通の動作を定義できる。たとえば、プレイヤーと敵キャラに共通の「IDamageable」インターフェースを作成し、どのオブジェクトにもダメージ処理を実装できるようにすることで、統一的なコード設計ができる。

Unity開発におけるオブジェクト指向のメリット

コードの整理がしやすくなる
 → どのクラスがどの役割を持つのか、明確に整理できる。

スクリプトの再利用が簡単になる
 → すでに作成した「Enemy」や「IDamageable」などを流用することで、開発時間を短縮できる。

プロジェクトの拡張性が向上する
 → 新しい敵やアイテムを追加する際に、既存のクラスを活用できるため、大規模な変更なしに機能を増やせる。

オブジェクト指向の考え方は、Unityのゲーム開発をスムーズに進めるための重要なスキルです。今回学んだ内容をもとに、ぜひ自分のゲームに継承やインターフェースを活用してみてください!もし、さらに詳しく学びたい場合は、デザインパターン(例えばシングルトン・ファクトリー・ストラテジーなど)を学ぶと、より洗練されたコード設計ができるようになりますよ!




よくある質問(FAQ)

Q
継承を使いすぎると何が問題になりますか?
A

クラスが増えすぎて管理が大変になり、継承の階層が深くなりすぎると可読性や保守性が低下することがあります。適度に継承を使いつつ、**インターフェースやコンポジション(部品化)**を活用すると良いでしょう。

Q
インターフェースと継承の違いは何ですか?
A

継承は、親クラスの機能を引き継ぎつつ、新しい機能を追加できます。一方、インターフェースはクラスの共通機能を定義するだけで、実際の処理は各クラスに委ねられます。

Q
ポリモーフィズムを使うと何が便利になりますか?
A

異なるクラスを共通の型で扱えるため、コードの拡張や変更がしやすくなります。例えば、すべての敵キャラを「Enemy」型で管理できるので、新しい敵を追加しても大きな変更は不要になります。

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