1. はじめに
Unityを使ったゲーム開発では、ジャンプ操作はとても基本的でありながら、重要な要素のひとつです。特に、クリックやキー入力によってキャラクターやオブジェクトをジャンプさせる動きは、アクションゲームやプラットフォームゲームで頻繁に利用されます。
しかし、単純にジャンプを実装すると、ボタンを連打した場合にオブジェクトが空高く飛び続けてしまう、という問題に直面することがあります。これではゲームのバランスが崩れてしまい、プレイヤーの体験を損ねる原因になりかねません。
この記事では、ボタン連打による過度なジャンプを防ぐ仕組みを、初心者でも簡単に実装できる方法で解説します。Unityの基本的な機能であるRigidbody
やAddForce()
メソッドを使い、クリックごとに適切に制御されたジャンプ動作を作りましょう。
初めてスクリプトを触る方にもわかりやすいよう、ステップごとに詳しく説明していきます。このチュートリアルを進めることで、ゲーム開発の中での「動きの制御」についても理解を深められるはずです。それでは、さっそく始めましょう!。
Unityを触ったことがないという方はコチラの記事から見てみてください!
2. 準備: CubeとRigidbodyの設定
まずは、Unityのシーンにジャンプの対象となる「Cube」を作成し、物理挙動を持たせるためにRigidbodyコンポーネントを追加しましょう。このセクションでは、具体的な手順をステップバイステップで解説します。
1. Cubeの作成
- Unityのヒエラルキー(Hierarchy)ウィンドウを右クリックします。
- 表示されたメニューから**「3D Object」→「Cube」**を選択します。
- シーンに「Cube」が追加されます。これがジャンプするオブジェクトです。
ヒント
- Cubeのサイズや位置は後から変更可能です。とりあえずデフォルトのままで大丈夫です。
- Cubeがシーンビューで見つからない場合は、Fキーを押して選択中のオブジェクトにフォーカスしましょう。
2. Rigidbodyの追加
ジャンプさせるには物理演算が必要なので、「Cube」にRigidbodyコンポーネントを追加します。
- ヒエラルキーウィンドウで先ほど作成した「Cube」を選択します。
- インスペクター(Inspector)ウィンドウの下部にある「Add Component」ボタンをクリックします。
- 検索バーに「Rigidbody」と入力し、表示されたリストから「Rigidbody」を選択します。
注意点
- Gravityのチェックボックスはデフォルトでオンになっています。これにより、ジャンプ後にCubeが自然に地面に戻るようになります。
- **Mass(質量)やDrag(空気抵抗)**などの設定を調整することで、挙動を変化させることができますが、今回はデフォルトの設定のままで進めます。
3. 簡単な確認
ここまでの手順が完了したら、一度再生ボタン(▶)を押してシーンを再生してみましょう。
- Cubeが落下するかどうかを確認してください。正常に落下する場合、Rigidbodyが正しく動作しています。
落下しない場合
- Rigidbodyが正しく追加されているか確認してください。
- Cubeが地面に埋まっている場合は、Y軸を少し上に移動させてください。

これで準備は完了です!次のセクションでは、ジャンプを実現するスクリプトを作成していきましょう。
3. スクリプトの作成
では、ジャンプ制御を実現するスクリプトを作成していきましょう!Unity初心者でも簡単に進められるよう、手順をわかりやすく説明します。
1. プロジェクトウィンドウでスクリプトを作成する
- プロジェクトウィンドウを右クリックします。
- 表示されるメニューから「Create」→「C# Script」を選びます。
- 新しいスクリプトに「JumpControl」という名前を付けましょう。
2. スクリプトをCubeにアタッチする
- ヒエラルキーウィンドウで先ほど作成したCubeを選択します。
- インスペクターウィンドウに「JumpControl」スクリプトをドラッグ&ドロップします。
- これでスクリプトがCubeにアタッチされました!
3. スクリプトにコードを書く
- 作成した「JumpControl」スクリプトをダブルクリックして開きます。
- デフォルトのコードが表示されるので、これを編集します。
- 以下のコードをスクリプトに記述してください。
using UnityEngine;
public class JumpControl : MonoBehaviour
{
public float jumpForce = 5f; // ジャンプの強さ
private Rigidbody rb;
private bool canJump = true; // ジャンプ可能かどうかを判定するフラグ
void Start()
{
rb = GetComponent<Rigidbody>(); // Rigidbodyを取得
}
void Update()
{
// マウス左クリックが押されたら
if (Input.GetMouseButtonDown(0) && canJump)
{
Jump(); // ジャンプメソッドを呼び出す
}
}
void Jump()
{
// まずリジッドボディの速度をリセットして、一気に上昇しないようにする
rb.velocity = Vector3.zero;
// 上方向に力を加えてジャンプさせる
rb.AddForce(Vector3.up * jumpForce, ForceMode.Impulse);
// ジャンプしたら、次のジャンプまで少し待つ
canJump = false;
Invoke("AllowJump", 0.5f); // 0.5秒後に再びジャンプ可能にする
}
void AllowJump()
{
canJump = true; // 再びジャンプ可能にする
}
}
4. コードのポイント解説
jumpForce
ジャンプの強さを調整する変数です。この値を変更すればジャンプの高さを簡単に調節できます。rb.velocity = Vector3.zero;
これでリジッドボディの速度をリセットし、ジャンプを滑らかにします。canJump
フラグ
ボタン連打を防ぐための仕組みです。ジャンプ後、一定時間が経過するまで再度ジャンプできないようにします。Invoke
指定した時間後にAllowJump
メソッドを呼び出し、ジャンプを再度有効化します。
5. スクリプトを保存する
コードを記述したら「Ctrl + S(Windows)」または「Cmd + S(Mac)」でスクリプトを保存してください。

これでスクリプトの作成は完了です!次はこのスクリプトを実際に動作させて、テストプレイをしてみましょう!
4. テストプレイとデバッグ
ここでは、作成したスクリプトが正しく動作するか確認するためのテストプレイと、問題が発生した場合のデバッグ方法を説明します。
テストプレイの手順
- シーンを保存
- 念のため、作業中のシーンを保存しておきましょう。
- メニューから「File」→「Save As」を選び、適切な名前を付けて保存します。
- プレイモードを開始
- Unityエディターの上部にある「▶(再生ボタン)」をクリックしてプレイモードを開始します。
- マウスの左クリックでジャンプをテスト
- シーンビューやゲームビューでCubeを確認し、マウスの左クリックを押してCubeがジャンプするか確認します。
- Cubeが一度ジャンプし、ボタン連打をしても一定時間経たないと再びジャンプしないことを確認しましょう。
よくある問題と解決方法
- ジャンプが動作しない
- 原因1: RigidbodyがCubeに追加されていない。
- 対策: Cubeを選択してインスペクターウィンドウを確認し、「Rigidbody」が追加されているかチェックしてください。
- 原因2: スクリプトがCubeにアタッチされていない。
- 対策: プロジェクトウィンドウで「JumpControl」スクリプトをCubeにドラッグ&ドロップしてください。
- 原因3: コードにエラーがある。
- 対策: Unityエディターの「Console」ウィンドウを開き、エラーメッセージを確認します。
- 原因1: RigidbodyがCubeに追加されていない。
- ボタン連打でジャンプが連続して発生する
- 原因:
canJump
フラグの制御が正しく行われていない可能性があります。- 対策: スクリプト内で以下のポイントを確認してください。
canJump
が初期化されているか。Invoke("AllowJump", 0.5f);
が正しい場所に記載されているか。
- 対策: スクリプト内で以下のポイントを確認してください。
- 原因:
- Cubeがジャンプしすぎて画面外に飛び出す
- 原因:
jumpForce
が高すぎる設定になっている。- 対策: スクリプト内の
jumpForce
の値を調整します(例: 5fから2fに変更)。
- 対策: スクリプト内の
- 原因:
- Cubeが全く動かない
- 原因: Rigidbodyの「Use Gravity」がオフになっている。
- 対策: Cubeを選択し、インスペクターウィンドウで「Use Gravity」にチェックが入っていることを確認してください。
- 原因: Rigidbodyの「Use Gravity」がオフになっている。
成功例のチェックポイント
- ボタンを1回クリックするたびにCubeが一定の高さでジャンプする。
- ボタンを連打してもCubeがすぐにジャンプせず、0.5秒後に再びジャンプ可能になる。
jumpForce
の調整により、ジャンプの高さが適切に変更される。

テストプレイを繰り返してスムーズに動作することを確認できれば成功です!万が一動作に問題がある場合は、コードやRigidbodyの設定を見直してみてください。デバッグを楽しみながら進めていきましょう!
よくある質問(FAQ)
- Qジャンプが反応しません。どうすればいいですか?
- A
まず、以下のポイントを確認してみてください:
- Rigidbodyが正しく設定されているか
CubeにRigidbodyコンポーネントがアタッチされているか確認してください。インスペクターウィンドウで確認し、アタッチされていない場合は「Add Component」ボタンから追加しましょう。 - スクリプトがCubeにアタッチされているか
作成した「JumpControl」スクリプトをCubeにドラッグ&ドロップでアタッチしてください。 - コードにエラーがないか
コードにタイプミスや文法エラーがないか確認してください。Unityの「Console」ウィンドウにエラーメッセージが表示されている場合、その指示に従って修正してください。
- Rigidbodyが正しく設定されているか
- Qボタン連打防止の待ち時間を変更できますか?
- A
はい、変更は簡単です! スクリプト内の
Invoke("AllowJump", 0.5f);
の0.5f
を別の値に変更するだけでOKです。例えば、1秒にしたい場合はInvoke("AllowJump", 1f);
に変更してください。
- Q複数のオブジェクトで同じスクリプトを使えますか?
- A
もちろん可能です! スクリプトを使用したいオブジェクトごとにアタッチすれば、それぞれのオブジェクトが独立して動作します。たとえば、Cube以外のSphereにもこのスクリプトをアタッチすれば、同じジャンプの挙動を再現できます。
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